4-2 後編 【突撃! 事故物件のおとなりさん!!】【再投稿しました! 修正前の動画を見ちゃった5名の方すいません!!】




「ハイどうも〜いただきますっ!『ゴーストイーター』のウスバカゲロウ二号とっ」


「三号です」


「え〜、まずはですね。皆様に謝らないといけないことがあります!!」


「本来なら今回の動画は『グローバルな部屋』の後編にあたるので、三号の挨拶からはじまるはずなんですけど」


「僕の手違いで、先程修正前の動画をアップロードしてしまいましたっ! 本当にすいませんっ!!」


「修正前って言うと、事故物件の隣に住んでる方のインタビューを全カットした分ですね。まあ、修正前の動画見てくれたのってたった5人でしょ。別にオープニング別撮りしなくてもいいんじゃ……」


「三号くん! たった5人なんて考えはよくない!! 1人でも100人でも、視聴者さんの重みは変わらないよ!! 一日のうちの貴重な時間を割いて、僕たちの動画を見てくれているんだから!!」


「本当にその通りですね。ごめんなさい。今回ばかりは二号さんが正しいです」


「今回ばかりは!?」


「三号たち『ゴーストイーター』はいつだって、たった1人の視聴者さんのために動画を配信しています。その1人とは、今こうして見てくださっている貴方です。貴方のために、お届けします」


「最初から素直にそうやって言えればね……」


「うるさいですよ、二号さん」


「では!! 修正後の動画です! 先に見ちゃった5名の方もよかったらもう一回見て下さい!! お願いします!」


「おねがいします」


「ではどうぞ〜、ドン!!」






***






「ハイどうも〜。ぐっどもーにんぐ、えぶりわん!!」


『どうしたの!? いつになく機嫌良いけど!?』


「いや〜……昨日は久しぶりによく眠れましたね。勉強も捗りましたし、今ならどんな英単語も長文もかかってこいって感じです」


『よかったね!!』


「背後から体格の良い人物に力ずくで押し倒されて何度も何度も身体を刺される夢を見ただけです」


『全然よくなかったww』


「刺されると、痛くて熱いのに冷たくなって冷えるんですよね。すごい矛盾の固まりだと思いませんか?」


『わからん! もし刺された経験のある方はコメント欄へどうぞ〜』


「でもまぁ、夢は夢なので気にしないです。たぶん二件目の『住むと事故にあう部屋』みたいに幽霊の追体験が夢の中で行われているんでしょう」


『追体験?』


「幽霊って、自分が死んだときの状況を何度も見せてくれるんです」


『うげ……』


「なにか訴えたいことがあるのか、ただの記憶の残滓なのかは時と場合によりますね」


『ざんし? 難しい言葉知ってるね!』


「前の動画でもお話しましたけど、三号はこの世に幽霊がいるってことを信じていません。幽霊はあの世にいるんです。本来交わらないもののはずが、間違ったきっかけで繋がるだけです」


『この世とあの世は全くの別物なんです!』


「夢っていうのは、間違ったきっかけとして最適です。もしも嫌な夢を見たとしても、違う世界をのぞいてしまったんだと思って、気を強く持って下さい」


『お?』


「間違っても怖がったりしないでください。奴らはそういう、人間の恐怖につけこんで力を強くするので。絶対に、信じないでくださ……ふわぁあぁぁ……おっと、失礼しました」


『強がりだったの!? 魘されてるじゃん!!!』


「嫌な夢でした。でも、おかげであの変なメモの意味が分かったかもしれません」


『本当!?』


「まだちょっと、確信が持てないんですけどね……でもここにいても手がかりはないし、ちょっと近隣の部屋の方にお話を聞きに行きましょうか」


『そのマンション、外国人ばかりだけど?』


「できるだけ、日本語の通じる方をチョイスします。じゃ、いってきま〜す」




***




「は〜い。コチラ、事故物件のおとなりにお住まいのラハ……ヒ……? ……Rさんでいいですか?」


「だいじょぶデス」


「Rさんは事故物件の隣に住んで、変な出来事は起きないですか?」


「起きるヨ。隣の住人がbad dreamで飛び起きる音とか、夜中に逃げ回るガタガタ」


「Rさんの国では、事故物件って考え方はありますか?」


「ある。でも、My Godに祈ればいいカラ」


「なるほど。幽霊を信じるのではなく、神を信じるということですね」


「この国のヒトはghostを信じすぎだヨ〜。もっとMy Godを信じればいいのサ」


「ところで、Rさんの首に何かに締められたような後があるんですけど」



「ボク、事故物件マニアなんダ」



「はぁ?」


「事故物件の幽霊にはパワーを感じるカラ、他にも部屋を借りてるノ。今はここと、家族全員が首を吊って死んだ家。ヘヘへッ」


「……なにが目的なんですか?」


「ヒヒヒッ。さぁ、なんだろうネ。ボク、キミたちの動画みてるヨ」


「ありがとうございます。こんなところで視聴者さんに会えてうれしいです」




「あんまり派手に『ghost eater』やると、消えた相棒みたいになるゼ」




「……ご忠告、ありがとうございます」


「キミたちがラゴーってネーミングしたghost、早く見つかるとイイネ」


「そうですね」


「早くしないと……eat overしてbad endだヨ」


「そうならないように、気をつけます。ところで、Rさんは事故物件マニアなのにどうして隣の部屋に住んじゃったんですか?」


「間違えタ」


「えっ?」


「契約する時に、部屋番号間違えたネ。うっかりうっかり〜★」


「そうですか……」


「三号くん、可愛いね。この後お茶でもドウ?」


「遠慮しておきます……ありがとうございました」


「バイバ〜イ」


「台詞取らないで下さい」





***





「……部屋に戻ってきました。なんと言うか、親切な方でしたね。えーっと、事件当時、この部屋に暮らしていたのは外国の方です。あんまり詳しい情報は出せませんが、被害者に落ち度はありませんでした」


『※結局、住民の方から詳しい話は聞けなかったので僕から三号くんに情報を送りました※』


「お金目当ての突発的な犯行だったらしく、三号が夢で見たのと同じように背後から襲われてしまったようです。現場はやっぱり、畳の色が変わっていた場所でしたね。被害者はそのまま絶命。犯人は日本人で、すでに捕まっています」


『※現在刑務所にて服役中です!※』


「みんな、最初は機嫌良く暮らしているんですけど、途中からどうしてもメモを剥がしたい衝動に駆られてしまうみたいで」


『剥がすなよ!? 絶対剥がすなよ!? って言われているのにね〜』


「剥がしたら最後、悪夢に魘されてたまらず出て行き、その後にはまた違う言語のメモが残されているというわけです。三号は見た夢の内容を覚えているので、なぜメモが残されたのかは分かりま〜す」


『マジで!?』


「このメモに何が書いてあるかを二号さんに教えてもらえたら、確信が持てると思います。10か100って意味だと、良いんですけど」


『ドンピシャだよ!!』


「じゃ、今回はこの辺りで。次回は解決編です。三号はして帰りますね」


『もうちょっとヒント出してよ〜!!!』


「ごちそうさまでした」



『じゃあ僕から追加ヒント!!



事件が起きてから、三号くんが泊まるまで一度も日本人は泊まっていません!


入居者は基本的に外国人の方々だと思って下さい!



わかるかな〜??


分からなかったら次の動画を見ればいいし、分かったら次の動画で答え合わせだ!!

視聴者のみなさん、次回をお楽しみに!


ばいば〜い!』




<コメント:新着順5件表示>


アカウント名:ロなもも

編集前の動画も見たかったなw

刺されたことはないけど彫刻刀刺したことはあるww

痛いよりも熱いとか押される感じ?

治るまでが痛いんだよね〜。

気の持ちようで幽霊って弱くなるもの?


アカウント名:ゆっくりまったり

2:04秒あたり、三号くんが夢の話してるときにずっと背中に白いモヤが見えるんですけど!?!?

これを信じるなっていうのは無理があるよ〜〜。


あとお隣さんキャラ強すぎ。

お髭が濃いよ〜〜!!

でもゴーストイーターが認知されててよかったね!


アカウント名:紅車蟲

三号くんが一人だとカメラの前で一人芝居するところ、一号さんと似てますね!

意識してるのかな^^?


アカウント名:ME

幽霊になったら犯人ぐらい自力で分かるのでは?

びゅーんって飛んだりすり抜けたりしてさぁ。

犯人の方を呪いに行けばいいのに、なんで事故物件に居座ってんだろう……って思っちゃうのはわたしだけ???


アカウント名:R san

thank you^^


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