8-3 解決編【最先端!新メンバーを紹介します】



「ハイ、どうも〜! いただきますっ! 『ゴーストイーター』のウスバカゲロウ二号です!」


「三号です」


「今回は解決編ということなんですが!」


「オープニングを撮った場所とは違いますね」


「会議室を借りました! ちょっと背景がゴチャゴチャしててすいません!」


「あとひとつ、謝ることがあるでしょう?」


「ゴメンナサイ!! 前回の動画、半端なところで切れちゃいました!!」


「テープの残量を確認しておかないからですよ」


「いや、かなり残ってたはずなんだけどね〜?」


「アカウント停止明けすぐにこのていたらく……」


「冷たい目で見ないで!?」


「あと、最後の無駄な演出やめて下さい」


「普通に編集したつもりだったんだけどな……?? も〜〜、本当に気をつけます!! と、いうことで!! そんな僕らに頼れる新メンバーの紹介です! ジャジャン!!」


「これは?」


「新しいビデオカメラです!! 今までは行方不明の一号が使っていたカメラをそのまま使っていましたが、やっぱり色々ガタが来ていたみたいなので……思い切って買っちゃいました!!」


「登録者数一万人突破したからって、調子に乗らないで下さい」


「乗ってないよ!? 一号のカメラも使うし! 予備カメラ、つまり2カメさんとして活躍してもらいます!!」


「三号はひとつしかカメラ持てませんけど?」


「わかってるよ!? 僕が使うの!」


「とうとう二号さんも本編動画に出てくれるんですね」


「物件次第では!」


「行ってらっしゃい」


「キミも一緒だよ!?」


「えぇ……」


「1人じゃ怖いもん!!」


「良い歳して語尾に『もん』とか付ける方が怖いですよ。ついてくるのは構いませんけど、足を引っ張らないで下さいね」


「がんばるから大丈夫!」


「二号さんの『がんばる』は、いまいち信用できないんですよね……」


「信用してよ!? 相棒でしょ!?」


「そんな理由なので、今後はちょっとスタイル変更するかもしれないです。まぁ、毎回二号さんのうるさいテロップと一緒に動画を見ていただいていると思うので、視聴者さんにとってはそんなに変わりはないと思うんですけど、報告させて下さい」


「事前の告知は大事だからね!」


「『ゴーストイーター』に足りないものですね、それ」


「耳が痛い……!! あ、あとお祝い動画ではたくさんのコメントありがとうございました!!」


「約一名、動画の主旨が理解出来ていない人物がいましたが」


「そんな言い方やめてあげて!? キミだってちょっと笑ってたじゃん!」 


「紙一重ですよね……ナントカとナントカは……」


「……よし、それ以上はやめよう!! いただいた質問はですね、また別動画でお答えします!! 本当にありがとうね!」


「まぁ、みんなが気になる質問ばかりだったので、早めに答えます。それまでコンビが続いていれば」


「ちょいちょい不穏な単語ぶち込まないで!? じゃあ、前回動画の解説して下さい!」


「前回はですね、空き部屋のインターホンが鳴るという現象だったんですけど……理由は色々考えられますね。乾電池式のタイプのものなら電池が切れかけていたりとか、経年劣化で配線が切れていたりだとか。あとは単純にピンポンダッシュなどのイタズラだったり、家電製品との相性が悪いとか」


「そうなんだ……。勝手に音が鳴り響いたり水が流れたりしたら、僕たちはすぐ『幽霊かも?』とか考えちゃうよね……」


「おめでたいですね」


「辛辣っ!?」


「センサー式の蛇口では、水道管の腐敗や凍結を防ぐためにタイマーで定期的に水が流れる仕様なんですけど、それも『幽霊の仕業』にされやすいです」


「いきなり水がジャーッと流れたら、そりゃあ怖いって!」


「無許可で心霊スポットを探索した人が陥りやすい現象ですね。そしてまた噂が広まっていくと」


「でもさ、そういう水周り系の心霊現象って事故物件には多いよね」


「事故物件だと思うから怖いんですよ。大体理由があります」


「普通の家だとあんまりセンサー式の蛇口ってないじゃん? その場合はどうなの?」


「レバータイプの蛇口は『レバーを上げたら水がでるタイプ』と『レバーを下げたら水がでるタイプ』があるんですけど、怪奇現象として報告されているのはおそらく後者ですね。地震などの外的要因でレバーが下がってしまい、その後ちょっとした刺激で出るようになってしまったのでしょう」


「なるほど……!」


「築年数を見て下さい。24年前の大規模地震をきっかけに、そういうレバーは少なくなったんですけどね。地震の後、レバーが下がって水が出っぱなしになってライフラインの復旧に負荷をかけたので」


「24年前って、キミ生まれてないよね……」


「はい。二号さんは覚えていますか?」


「僕も当時5〜6歳だったからなぁ。記憶はあいまいだけど、存在は知ってるよ。結構震源地の近くに住んでたし」


「黙祷を捧げましょう。つい先日、その地震の日付だったみたいですし」


「いいの? 幽霊は信じてないんじゃなかった?」


「幽霊は信じていませんけど、『あの世』と『この世』は信じているので、向こう側に向けての敬意です」


「そっか……。って、また脱線しちゃったよ……!!」


「そうですね。今回の件については、先に挙げた可能性もどれでもありません。空き家ですし、電気も通してないですから。なので自ずと原因は絞られます。二号さん、あのマンションはファミリー向けで、近くに学校があると言いましたよね?」


「えっ? うん、そうだったっけ」


「学校と言えば?」


「漠然としすぎ!! え〜? と、友達……とか?」


「クサい台詞を照れながら言わないで下さい。陳腐な答えは要りません。チャイムですよ。ちょうど、13時前でしたよね?」


「チャイム?」


「はい。電気の通っているインターホンはある程度外部からの干渉に対して自衛機能があるんですけど、あの部屋のインターホンは電気が通っていないので、単なる受信機になってしまっていたんです。本当に空き部屋なら電波をガードするための特殊な紙を挟むんですが、三号がロンダリング中という中途半端な状況だったので、その紙がなかったんですね。だから、学校のチャイムという野良音波に同調してしまったのですよ。これが真相です」


「そうだった……!! 不動産屋さん時代にそんなこと言われたなぁ……」


「忘れてました?」


「………」


「目を逸らさないで下さい」


「ごめん……忘れてたよ」


「まぁ、忘れていたなら良いんじゃないですか? 二号さんにとって、不動産仲介業をしていた期間なんて辛いだけだったでしょ」


「言い方が悪いよ!? 不動産屋さんは楽しい仕事だったけど……これ以上話すと僕のダークサイドがてんこ盛りになっちゃうからこの辺りにしよう!? 次回予告をどうぞ!」


「はい。ゆる動画でしたが、お付き合いいただきありがとうございました。次はちょっと趣向を変えて、事故物件じゃなくて事故店舗です」


「現在も営業しているので、詳しい店名は言えないんですが……数年前、強盗殺人事件があったラーメン屋さんです! 今までは特に怪奇現象が起きていなかったのに、最近になって急に頻発するということなので行ってきました!!」


「サブタイトルは?」


「プレッシャーかけないで!? 『ゆるさないラーメン屋』! どうかな?」


「『〜ない』ってつくサブタイトル、かなり被ってますけど」


「やめて! 言わなけりゃバレないのに!」


「ハイハイ、ごちそうさまです」


「次回からは通常運転! お楽しみにっ! ごちそうさまでしたっ!」


「ばいばい」


「ばいば〜い」






<コメント:新着順5件表示>


アカウント名:強盗猫

やっぱり会議室スタイルがいいです。

見てる方も安心します。

今までの白すぎる部屋は、コッチもだんだん嫌な気分になっていました。


アカウント名:しのーぶ

二号が一緒に本編参加したら画面めっちゃウルサそうw


アカウント名:ポッテト

震災のことかな?

学校で習ったなぁ。こんなところで聞くとは……。


アカウント名:平子まみ

一号さんに似た人、見ましたよ。

地元の事故物件で。

やっぱり一人で事故物件YouTuberやってるみたい。

本当はケンカしたんじゃないの〜?


アカウント名:R san

good^^

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