5本目【入れない】潜入不可能な部屋

5-1 前編【まさかの再会!?】【下ネタ注意】




「ハイ、どうも〜! いただきますっ! 『ゴーストイーター』のウスバカゲロウ二号です!」


「三号です……」


「どうした? 三号くん、なんか元気ないぞ〜?」


「今回はちょっと、トラブルがありまして」


「そうなんですよ! なので、いつものお部屋からオープニングですっ! あっ、でも依頼は完遂できましたよ!!」


「視聴者のみなさんに、ひとつ、お願いしたいことがあります」


「ハイ、なんでしょう!」


「依頼を送っていただけるのは非常に有り難いんですが……複数箇所に依頼を出すのは控えてもらえると非常に助かります」


「ダブルブッキングしちゃうからね!」


「他で採用されたなら、連絡いただければすぐにこちらもキャンセルしますので」


「今回は誰とブッキングしちゃたのかな!?」


「……Rさんです」


「そんなに苦々しく言わないで!? えーっと、四本目の動画に登場してくれた事故物件マニアのRさん! ラフィってお名前なんですけど、この度僕らと似たようなアルバイトをはじめたみたいでねっ!」


「Rさんは一日だけじゃなくて、気が済むまで事故物件に滞在するみたいですけど」


「変なところ張り合わないで!?」


「あとラフィは料金もお高めです」


「だからぁ〜! まあ、そんなわけで今回の動画、冒頭でラフィにも登場してもらってます!」


「依頼主の希望で、早くすませて欲しいとのことだったのでアルバイトは三号たちで引き継ぎました」


「ラフィ! 譲ってくれてありがとね〜!」


「どんな部屋でしたっけ」


「うん、個人の方の依頼でね。二階建てのお家に四人家族だったんだけど、弟さんが自室で亡くなられたんだ。その後その部屋が開かないからどうにかして欲しいってお姉さんから僕らに、ご両親からラフィに依頼があったんだよ」


「そういう場合も『事故物件』って言うんですかね」


「ん〜? まぁ、『人が死んでる部屋』って意味では間違ってない! 細かいことは気にしない!!」


「依頼があればどこでも参上、というわけですね」


「その通り!」


「今後とも、情報お願いします。もっとバリバリ、動画配信したいので!!」


「アナタの部屋、僕らが過ごした事故物件かもしれませんよ〜?」


「いや、今回に限ってはピンポイント過ぎるでしょう。個人のお宅ですし、住むのは家族しかいないのに」


「う、うるさい!」


「その決め台詞、賃貸の物件にしか通用しないんじゃないですか?」


「いいの! 雰囲気が伝われば!! それじゃ、ハイ! 三号くんどーぞ!」


「いってきます」



***




「ハイ、どうも〜」


「ドウモ〜」


「Rさん、もう少し下がって下さい。見切れてます」


「いただきますっ! 『ゴーストイーター』のウスバカゲロウ二号です!」


「同じく、『ゴーストイーター』の三号です」


「『ラフィちゃんねる』のラフィですヨ」


「や〜、お久しぶりですねっ!」


「二人の真似して、ボクもはじめてみたノ」


「どうですかっ!? 順調ですか?」


「ボチボチでんナ」


「関西人!?」


「コレが最初の依頼だったの二、ghost eaterとブッキングしちゃって残念ネ。でも先輩に譲るヨ」


「ありがとう! 背景がね、モザイクばかりで申し訳ないんですけど、今日は住宅街の中にある二階建てのアチラのお家です!」


「ご家族が自宅で亡くなられたんですよね」


「二階にある自室から飛び降りたんだけど、打ち所が悪くて数日生死の境を彷徨った後に亡くなっちゃったんだ。そこから、家族が息子の部屋を開けようとしたら開かなくなったって聞いてるよ」


「家族以外の方が開けると、開くんですか?」


「そうみたい。だから今回は、一晩だけ皆さんに家を空けてもらって、その間に三号くんに泊まってもらいます!」


「三号が一軒家を独り占めというわけですね」


「長期間家を空けられないナラ、ラフィのやり方は向かないナ。それなら一つアドバイスあげル」


「おっ! なんですか?」


「ghostから逃げる一番の方法はネ、seピッーーーーー」


「わーっ!!!! ラフィ! ストップ、ストップ!!」


「感情の上書きだヨ。恐怖に勝つには快楽が一番なのサ」


「そっ、それなら、笑うとかでもいいじゃないですか!」


「幽霊まみれの部屋で笑えるカイ?」


「うっ……それは……」


「デモ、sピッーーーに夢中になると身体を乗っ取られることもあるから、一番いいのはmasturbaピーーッ」


「ちょっと! ピーッ音が間に合わない!!」 


「日本人ならonaピーーッの方が馴染みアル? ドイツ語だケド」


「動画として配信できなくなるからやめて!!」


「ハハハ」


「……胸の前で手を動かす卑猥な動き、止めてもらえませんか」


「Sorry。冥界に行くよりも別の場所にイった方が……ンン?」


「なんですか?」


「シッケイ。little……girl?」


「………」


「やだなぁ、ラフィ。いくら三号くんが小柄で女の子っぽい顔だからって、流石にそれは失礼だって!」


「ソウダヨネ〜!!」 


「ぽんこつども……」


「それじゃ、マタ会おうネ〜。ばいば〜い」


「ラフィ! 暗いから気をつけて!」


「行っちゃいましたね。……挨拶パクらないでって、後で言っておいてくれます?」


「僕から!? よくある挨拶だし、そんなことは言えないよ」


「じゃあ、さっさと行きましょう」


「1人で大丈夫?」


「いつも1人ですから」


「いってらっしゃい!」






***






「えーっと、いただきます。思わぬアクシデントのおかげで時間をくってしまいました。尺、大丈夫ですかね?」


『正直ヤバい……ごめん……』


「家族の方には出て行ってもらってるんで、軽くお家の紹介でもしましょうか。玄関入ってすぐに二階へ続く階段がありますね。一階に洗面所とお風呂、トイレ、ご夫婦の寝室……キッチンとリビング。ソファとテレビ。お見せできないんですが、たくさんの家族写真がありますね。仲の良い家族だったんでしょうか。お仏壇もありますね。炊き立てご飯と綺麗なお水です。磨かれてもいます。一応、手を合わせておきましょうか。ここまで丁寧に供養されている様子をみると、悪さをするようには思えないんですが。あとは……階段の下に物置がありますね。なにか……砂? みたいなものが零れています。ま、二階に行きましょう。今回の本命ですね」


『誰もいない家ってちょっとこわくない?』


「二階はお姉さんの部屋と……弟さんの部屋です。あ、二階にもトイレがあるタイプのお宅ですね。さて……」


『弟さんの部屋の前に来ました!』


「三号はここの住人じゃないので、開くはず……なんですけど」


『どうしたの?』


「これ、視聴者のみなさんには伝わらないと思うんですが、すごい……匂いです」


『マスクしててよかったね!』


「事件後そのままにしてるってことは、ご遺体もそのままじゃないでしょうね」


『怖いこと言わないで!?』


「じゃ、開けますよ……」


『お願いします!!』


「えいっ!!!!」


『扉の先には何がある?


異臭の原因は!?


続きは後編で!!



ばいば〜い!』




<コメント:新着順5件表示>


アカウント名:ウ海はぐみ

新しいゴーストイーターになってから、ずっと同じ部屋で配信してますね。

背景が白すぎて最初は目が痛かったけどなんか慣れてきたかも?

てゆーかどこですか?

二号さんか三号くん、どっちかの自宅??


アカウント名:らんたん

すごい偶然!!

料金高いならゴーストイーターのほうに頼もうかなw

でもラフィさんのほうがしっかり祓ってくれそうw

ゴーストイーターはノリが軽いからなぁw


アカウント名:ササミの負ラ来

ピーッ音なに???

まあ、大体意味分かるけど笑

通報されたくないからみんなも黙っておけよ!

っつーか、もしそんなことしたら動画にできないでしょ笑笑


アカウント名:リー詈トリック

マスター……覚えておく。

三号くん、いつか間違えられると思ってた!


アカウント名:R san

Thank you^^

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