六.『靖(あお)き慈愛の風』リュライオ & 『小さな勇気の炎』ファイア
◼︎リュライオ[Ryulaio]
(名前の意味:竜族の長たる
◼︎ファイア[Fire]
(名前の意味:〔総称としての〕炎)
◼︎イメージワード
(リュライオ)
——風
永遠に
その身に宿るは 慈愛
世界の始まりから
(ファイア)
——炎
破壊と再生 両の力を
その身に宿るは
人を暖め心を燃やす 小さな勇気——
◼︎雑記
世界のはじまりより在る三者の竜――、それがクォーム、リュライオ、ハルです。クォームが『地球の記憶』なら、リュライオは『地球の心』。そうするとハルは『地球の知恵』でしょうか。
争いを好まず、ひとの痛みや悲しみに敏感で感情移入の深いリュライオは、いつからか竜族の尊敬を得、『竜族の長』『風の長』と呼ばれるようになります。
ハルが人族の王・導き手なら、リュライオは竜族の長と言えるかもしれません。
ハル亡きあとは、そのひと一倍強い責任感からか弱音を吐くこともせず、幾多の世界を巡っては、他者の面倒を見てばかりいたようです。
しかしその強さに隠した心は、脆くて繊細だった昔と変わっていない……と気づいていた者は多くはなく。そんな彼にとって、親友のライトと弟(むしろ子供?)みたいな存在のファイアは、特に大切な支えとなる存在だったのでしょう。
リュライオとファイア、ともに、1945年に死を迎えています。
「砂伝 第一部 外伝一」のハルとの出逢いの話の中で、ハルがリュライオに覚悟を尋ねるシーンがあります。
幾ら強大な魔力を持つ司竜といえど、目に映るすべてを救うことは不可能であり、感情と公平性の平衡を取るのは非常に難しい。リュライオは司竜としての生涯ずっと、その問いと向き合い続けてきたように思います。
ひと頃は、司竜の魔力を自分からは使わないと誓約を立てたこともあったようですが、結局そうやって心を殺すことはできず。
長い時代を経て出逢いと別れを繰り返し、幾度も迷い悩み続けた結論は、結局。
始まりの時代に、小鹿の死に泣き続けた、その心のまま。
その選択が正しいか間違ってるかは問題ではなく、どうしても何かせずにはいられなかったのでしょう。
第二次世界大戦(と二つの原爆)によって、自分が愛した美しい
人族が星の魔力を魂に宿し、死したのち夜の天空に星の幻を灯すのと同じように、竜族は自分の魔法力全体(つまり生命)と引き換えて、願いを叶えることができるらしいです。
司竜ともなれば、その奇跡の規模ははかり知れません。
しかしそれは、いにしえの時代にハルが行なったのと同様で、リュライオ自身の生命が失われるということでした。
彼はそれを覚悟の上で、親しくしていた者たちに最期の言葉を送った後、沖縄の海で風と化し消えてしまうのですが。それを知ったファイアは、悲しさと絶望で炎の魔力を暴走させてしまいます。
炎の司竜の持つ、純粋なゆえに破壊力の凄まじい
それを聞きつけたクォームは、単身、竜世界のファイアの元へ乗り込みます。
ファイアは人間から生まれた
リュライオと親しかったライトやクォームとも仲が良く、悪戯して
1929年にライトが戦死し、1930年に弟の
それが叶わず
そのファイアの心境を、
たくさんの命と世界そのものを焼き尽くすという『大罪』を犯した自分は、地の底で眠ることも
記憶は、魂を形成するもの。
その時のクォームは気づいていませんでしたが、それはいにしえの時代、ハルがティリーアに自分の記憶を託したのと同じことでした。
ハルが『星の日』の魔法によって復活を遂げたのを知ったクォームは、直感のような確信のもとにファイア復活のための方法を探しはじめ、百年後の2045年ついにその願いを果たすことになるのです。
『おかえり』
この言葉は、いつでも懐かしくて温かい。
リュライオがクォーム(と関係者各位)の頑張りによって帰ってくるのは、それからさらにのちの出来事。
その一年後の物語が、後日談のクッキーバトル、というわけです。
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