四.『運命導く魔物の頭』シィ=シエラ


 ◼︎シィ=シエラ[Si-Ciela]

(名前の意味:幸運)

 ※Siは『頭領、頭目』で、渾名あだなのようなもの。



 ◼︎イメージワード


 ——運命

 両に映る 無限の宇宙

 その身に宿るは 不屈

 幸運すらも従える 魔物のかしら——



 ◼︎雑記


 夜空を切り取ってめ込んだような。それが、魔物のかしら・シィ=シエラの瞳です。

 絵に描くと非常に難しいのですが、彼(&歴代の銀河の竜)の目には虹彩がありません。(多分)

 白目もなくていいんですが、そうすると自分の画力的に表情が出せなくなるので、絵に描くときは妥協しております。(人形みたいになっちゃうよね)


 一般的にはクォームが(事実はさて置き)『闇の司竜』扱いされているのですが、クォームは世界が始まる前の銀の空間で生まれたので、魔性の魔力は内包していても闇の魔力は持っていなかったりします。

 どうやら、闇から生まれたのはシエラらしいのですね。


 以下、メモの切れ端に殴り書きしていた文章です。



 ―*―*―


 墨の底にどっぷり浸かったような闇夜だった。

 闇の中から引き抜いた両手には、二振りの短い剣が握られていた。

 始まりは、闇だった――。


 星辰せいしんを散りばめた闇の天空そらをふたかけ、切り取って両眼に填め込んだような。限りない深みと広がりを宿した双眸。

 日と日の狭間の短いときに、空を満たす風と同じ色の、長い長い絹の髪。

 見上げるほどに長身で、それでも均整の取れた体躯たいく


 ――始まりは、そんなだった。闇の抱く、温かさと、哀しさと、さみしさをっていた。

 加えて言うならば、魔性の部分をさえ。


『ついてこないか? おれの幸運シエラの名にかけて、生きたことを後悔はさせない』


 救いたいと願ったのはなぜだったのだろう。

 幾多の害された魂たちではなく、魔性たるその加害者の方を、救いたいのだと考えたのは。

 それは――それこそが、闇を知る者としてのさだめだったのかもしれないと、思えるようになったのも、その頃からだった。


 ―*―*―



 おそらく、台詞を向けた相手は子供時代のエフィンと思われます。


 彼は闇から生じ、自分の存在を知覚した時には既に、両手に短い剣(短刀)をつかんでいたとか。銀河のことわりと竜語の意味も知識として知っていたようです。

 その生まれの特性ゆえなのか、彼は魔性や咎人とがびとに引き寄せられ関わることが多く。ハルが人族の王、リュライオが竜族の長なら、彼は魔物のかしらと言えるのかもしれません。


 ハルが王だった頃(砂伝二の時代)、彼は盗賊の頭領としてウィザールに住んでいたようです。そしてハルの死に際し、ティリーアの具現(精霊)化と人族の中からハルの記憶を消し去る仕事をしたのち、銀河の竜としての魔力(権能)を次代に譲って、Leimの世界の一箇所に結界を張り、外界と隔離します。

 そして、自分の竜としての力を結界内に放出し、無数の具現(エレナーゼで言う所の精霊、結界大陸では魔物と呼ばれる)を生じさせてそこに住み着きます。


 それは、世界が終焉を迎えた際の保険。

 ハルの『エレナーゼ大陸世界』に似せた擬似世界を作り、いつか惑星が力を失って終焉を迎えたとしても、そこを起点に再生をはかれるようにするため、でした。


 しばらくはそこ、結界大陸サイケルティスを拠点として結界内外を行き来はしていたようですが、やはり関わる相手は海賊王エフィンや、妖魔、魔物など闇に属する者が多く。「眠れぬ夜には、恋歌を」の舞台もその結界大陸で、グランパはシエラです。


 エレナーゼで言うところの『統括者ウラヌス』の役割に近い彼は、さまざまな場所で誰かのお世話をすることが多いです。彼が中心になって進む話は今のところありませんが、ほとんどの物語に一度は登場しているかもしれません。

 クォームとは違う意味で、彼もまたこの世界の物語を見守る者なのです。

 彼の通称は『シィ=シエラ』(シィ→お頭)なのですが、最近は魔物たちの影響で『ぐらんぱ』と呼ばれる事が多いです。


 明けない夜が無いのと同じく、闇は必ず巡り来て世界を包む。

 恐れ拒絶するのでなく、耳を澄ませて受け容れよぅ。

 ひとは、闇に抱かれ眠り、ココロとカラダを癒してゆくから。


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