第37話 悲しみのピカリオ
せっかくパリに行くのだから、思い出の地で記念写真でも撮ってあげよう。パソコンデスクの横で駅長フローラと並んで座っているキラリンとピカリオの二人を今回の旅行に連れてきたのは、そんな軽い気持ちからだった。観光名所やレストラン、何気ない街並みなどいろいろなところで仲良く写真を撮ってきた二人だったが、バルセロナで事件が起こった。
翌朝のフライトでグラナダに移動するためホテルで荷物の整理をしていたバルセロナ最終日の夜。カメラと小物を入れているショルダーバッグの整理をしていて異変に気がついた。おかしい、ピカリオがいない。キラリンはいつもの場所にいる。だがその隣に並んでいるはずのピカリオが、どれだけ探しても出てこないのだ。え、どうして!?混乱する頭でかばんの中を何度も探すが、見つかったのはタグだけだった。
すでにシャワーも浴びてリラックスした格好になっていたが、慌てて服を着直して夜のバルセロナに駆け出した。どこでいなくなったのか全く分からないが、とにかくカメラを取り出した記憶のある場所を順番にたどっていく。海辺の公園……いない。海洋博物館前……いない。レストラン……いない。フラメンコバー……いない。他にも夜間でも行ける場所には行ってみたが、どこにもいない。ああピカリオよ、いったいどこに行ってしまったんだ?こんなところで原作準拠の行動をとらなくたっていいんだよ……。
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