明日のナージャを追いかけて

ニット

第1話 きっかけ 

 そうだ、ナージャに会いに行こう。そんなことを思いついたのは夏の暑さが本番を迎える2018年6月初旬のことだった。iPhoneで音楽をランダム再生していた時にふと流れてきたオープニングテーマ曲を聴き、当時の思い出が一気に頭の中に膨らんだ。

 「明日のナージャ」は2003年2月2日から2004年1月25日まで、1年間にわたり日曜の朝に放送されたテレビアニメーションだ。孤児院で育った主人公のナージャが旅芸人一座の踊り子としてヨーロッパを回りながら母親を探すというストーリー。ナージャが所属するダンデライオン一座を中心に、多彩な登場人物や公演で訪れる各地の特徴に合わせて描かれる数々の風景。まるで自分も旅をしているかのような楽しさを味わえる作品だった。

 ダンデライオン一座が訪れたのはイギリス、フランス、スイス、イタリア、スペイン、ギリシャ、エジプト、オーストリアの8カ国。ナージャたちが過ごしていた時代から100年経った21世紀の現代でそれぞれの国や街がどのように変わったのか実際に見てみたい。どうすればよいのか。答えは簡単だった。現地に行って、自分の足で歩いて、自分の目で見ればいいのだ。


 これから綴るのは、そんなナージャの足跡をたどる旅の中で起こったいくつかのエピソード。旅の途中で書き留めたメモに加筆・修正したものだ。旅のすべてを網羅しているわけではないが、こんな旅もあるのかと軽い気持ちで読んでもらいたい。

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