第28話 バチカンの屋根
ローマ中心部から地下鉄に乗り込み、10分も揺られていればバチカン市国に到着する。バチカン市国にあるカトリックの総本山・サンピエトロ大聖堂は無料で内部公開しているのだが、チケットを購入することでドーム部分まで登って聖堂内部を上から眺めたり、バルコニーからローマの街を一望できる。
ドームの入場チケットには、途中までエレベータを使用して最後だけ階段で上がるものと、最初から最後まですべて階段で登るものがある。当然のように階段で登るチケットを購入し、入り口に向かう。ミラノのドゥオーモで階段を上った時には、何とも言えない味気なさがあったのだが、さすがカトリックの総本山というべきか壁に飾られたレリーフや年代を感じさせる階段が荘厳な雰囲気を醸し出し続けている。エレベータで登れる階層の先に続く階段は大人がギリギリ通れるくらいの狭さになり、ドーム屋根の傾きをそのまま壁から受けるようなかたちになる。つまり、ドームに合わせて自分の体を斜めにしないとまともに歩けないのだ。これは歩きにくい、しかし気分は高揚してくる。500段を超える階段を登ってきたせいでランナーズハイのような感覚が出始めている可能性も否定はできないが、とにかく楽しい。頂上まで登りって眼下に広がるサンピエトロ広場の写真を撮ろうとしたときに、息切れでカメラが手ブレしてしまったこともそのうち良い思い出になることだろう。
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