第22話 早朝散歩

 コモから電車で40分ほど南下するとミラノ中央駅に到着する。そこからさらに地下鉄に15分ほど乗った場所がミラノでの宿泊地となる。ミラノはどこも観光客であふれているため、できるだけ人の少ない写真を撮るために早朝にホテルを出て街を歩いてみることにした。

 ミラノ観光の中心地と言えばドゥオーモだろう。普段は大量のハトと観光客であふれかえっているこの場所も、朝7時にやってこれば静まり返った空気を味わうことができる。この日見かけたのはウェディング用の写真を撮っているカップルとカメラマン、清掃員、警察官、眠そうな目では目の出勤をするサラリーマンくらいだ。同じように人気の少ないガレリアやスカラ座前を通り過ぎ、ごみ回収作業を横目に見ながらスフォルツァ城まで歩くと状況が少し変わってくる。多くのミラノ市民がスフォルツァ城と平和の門に挟まれたセンピオーネ公園を回るように走っているのだ。どうやらここは市民ランナーにとって早朝トレーニングの定番スポットのようだ。日本でいえば皇居ランナーのようなものだろうか。観光スポットが開いていないような時間に街を歩いてみると、その土地での暮らしに触れられて楽しいものだ。

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