第5話 Hotel or Bar
ロンドンに限った話ではないが、ヨーロッパ主要都市の中心部にあるホテルはどこもそれなりの値段設定がされていて長期旅行では使いづらいところが多い。宿泊費を節約したいとなると、宿泊場所は自然と中心部から少し離れた場所に目を向けるようになる。今回ロンドン滞在中の宿に選んだのは郊外の地下鉄駅から歩いて行ける場所、という条件に合致した「The Long Room Hotel」というホテルだ。
ロンドン中心部から20分ほど地下鉄に揺られて宿に到着してみると、そこに建っているのはどう見てもバーだった。正面玄関から入ってみると、内部も見事にバー。どうやらスポーツバーの2階にある部屋をホテルとして提供しているようだ。ホテル名もよく見れば「The Long Room Hotel "and Bar"」としっかり明記してあった。一階がバーなのは確かだが、だからといって基本的には寝るためだけの場所なので問題ないだろうと部屋に入ったのだが、事の重大さを思い知らされるのは夜になってからのことだった。
今回の旅は2018年の6月から7月にかけて約1カ月間。この時期に何が行われていたか、勘の鋭い人ならば察しがついたのではないだろうか。そう、サッカーのロシアワールドカップの真っ最中だったのだ。街の飲み屋はどこも大型モニターを設置して「うちの店はワールドカップを見ながら飲めるよ!」と客の呼び込みに一生懸命。当然このホテルの1階で営業しているバーも例外ではない。夜になって試合中継が始まれば驚くほどの大騒ぎが繰り広げられる。時差ボケで眠いとか許されないレベルだ。生中継だけではなく録画やダイジェスト番組でも大盛り上がりなのでまともに眠れるようになるのは深夜になってからという状態が毎日が続くことになるのだった。
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