第4話 Give me 電波

 ヒースロー空港に到着すると、真っ先にターミナルの端っこにある売店に向かい3のSIMを購入した。「SIMカードをスマホに挿してしばらくしたらアクティベーション用のメッセージが出るからそれに従えばいいよ」という売店のお姉さんの言葉を信じてメッセージを待つが、5分待ってもメッセージは現れない。10分待っても状況変わらない。これはハズレのSIMを引いたかなと先ほど対応してくれた売店のお姉さんに問いかけると「そこの自動ドアから出て5分待ちなさい」という謎の指示を受ける。他にできることもないので指示通り自動ドアをくぐると、そこにはスマホを見つめる若者たちの集団がたたずんでいた。そのうちの一人に声をかけ、ここに何があるのかと聞いてみると「売店の前にあるベンチは電波が悪いからここで待つんだよ」とのこと。そういうことなら自分も待つかとスマホを見たら、すでにアクティベーションを通知するメッセージが届いていた。スマホを再起動して無事開通確認となった。

 SIMを売っているからと言ってその場所の電波状況が良いわけではない。当たり前ではあるが、先入観で信じてしまうのは危険だなと思わされた出来事だった。

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