S・キング曰く「短編とは、つかのまのキスのようなものだ」

 オレの通う小説講座には、「映画研究部」がある。

 ワンシーンを描写したり、オススメを語り合ったり等、映画を創作に活かすことが目的のサークルだ。

 つい最近、行われたのは

「原作小説をビブリオバトル形式で語り合う」

 といった企画だった。大変盛り上がった。

  

 そういった中、

「S・キング原作『ミスト』の映画本編と、原作を読んで、比較する」

 という企画もあった。


 オレは図書館へ向かい、『ミスト』の原作を検索した。


 手にしたのは、『骸骨乗組員』という短編集。

『ミスト』は、短編が原作なのだ。この歳になっても知らなかった。

 といっても、二〇〇ページはあったけど。

 ラストも全然違う。

 映画版のラストは、キングすら見事だと唸らせるほどの衝撃だったと言う。

『シャイニング』のキューブリック監督とは正反対の評価だ。


 面白かったのは、冒頭の小説論だ。

 素人目にも、キングの創作論は珍しいと思ったものである。

 短編集を書籍化するに当たって、自身の短編論が書かれていた。

 中でも、この一文がオレの脳にビビッと来た。


「長編を情交とするなら、短編はいうなれば『暗がりの中、すれちがいざまにふれあう、つかのまのキス』のようなものだ」


 うわ、オシャレ。キングっぽくない。

 キングの小説観って、もっとドロッとした印象を持っていたが。


 ああ、こんなこと言うてみたいわーっ!

 

ともあれ、ミスト原作を読むなら、オレは『骸骨乗組員』を勧める。

『ミスト』の思わぬ副産物、是非ご一読を。

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