ゴールドライタンは、なぜヒットしたのか?

 みなさんは『黄金戦士ゴールドライタン』をご存じだろうか。


 異次元から来た魔王を倒すため、ライターが変形するロボである。一九八一年の作品だ。

 メカデザイナーの村上克司さんがヘビースモーカーだったため、生まれたロボットだという。


 二〇〇六年になって二五年ぶりに超合金が再販された。

 それだけ、印象深いロボと言える。


 嫌煙家が幅を利かせる今だったら、絶対に商品化の流れは起きないだろう。


 だが、当時は大ヒットしたのだ。

 ガンダムとかマクロスとかがもう出ている頃に、である。


 ただのジッポライターが主役で、見た目は『キン肉マン』の超人サンシャインのよう。


 武装も徒手空拳のみ。カッコいい銃や剣など、持ち合わせていない。


 必殺技もいわゆる「モツ抜き」だ。シンプルイズベストこの上ない。余計な物は一切排除という、漢らしいコンセプトだ。


 今だったら考えられないコンセプトである。


 なのに、このアニメは、当時大ヒットした。


 なぜか。


 昭和当時は愛煙家に寛大だったという説もあるだろう。


 だが、それだけではこの作品がヒットした理由にならない。


 それは、本作がトランスフォーマーより前に誕生した「人と交流できる、意思を持ったロボのパイオニア」であるからではないか。


 本作を印象づけるのはEDの止め絵の一コマだ。


 ライタンが主人公の少年にラーメンを食べさせるコマがある。


 この不器用ながら一生懸命さが伝わるワンシーン。

 実に、彼らの関係を物語っている気がしないだろうか?


 こういった愛らしさ、友情を思わせる描写こそ、本作が受けた理由であろう。

 ぶっちゃけ、造形なんてなんでもいいのである。


 この、シンプルながら愛らしいロボ、というコンセプトは、映画『インターステラー』に登場する「自走式AIロボ」にも通じる。


 そりゃあ、美少女であればうれしかろう。

 でも、美少女でなくてもいいのだ。

「美少女であればなおよし」

「美少年であればなおよし」

 というだけであって。


 今だって、AIスピーカーに萌える人だっているはずである。


 肝心なのは、

「『美少女作って、創作魂入れず』は、まずいよね」

 ということだ。

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