起承転結より「ブレイク・スナイダー・ビート・シート」

 小説書きなら、誰しも「起承転結を活用しよう」と言われたはずだ。

 まして商業作家を目指す人なら、なおのこと意識せよと。


 ところだ、最近では「起承転結なんて使えない!」という声も上がっている。

 物語の細部まで、構成できないからだ。


 では、どのようなツールが有効かというと、

「ブレイク・スナイダー・ビート・シート(以下SB2)」

 というテンプレートだという。


 BS2なるこの創作方法、実は「映画の脚本を書く方法」だ。

 アメリカの脚本家、プロデューサー、シナリオ講師であるシド・フィールド氏の「三幕八場」構成に、同じく脚本家のブレイク・スナイダー氏が味付けをして、15のビート(見せ場)に分解した構成術である。


 著作『SAVE THE CATの法則』に載っている。

 ちょうどKindleで半額で売られているので、是非。


 括弧内の文字は、脚本の枚数なのだが、「DP」ともいうらしい。

「電撃ポイント」の略で「『電撃文庫の規定枚数(42文字 34行)』に沿って本文を書こう」、という意味らしい。


 ただし、「本文をこの枚数で書くと有効だよ」という意味である。

 BS2を参考にあらすじを書く場合は、1ビートにつき一行程度でいいのだとか。


1.オープニング・イメージ(1)


2.テーマの提示(5)


3.セットアップ(1~10)


4.きっかけ(12)


5.悩みのとき(12~25)


6.第一ターニング・ポイント(25)


7.サブプロット(30)


8.お楽しみ(30~55)


9.ミッド・ポイント(55)


10.迫り来る悪い奴ら(55~75)


11.すべてを失って(75)


12.心の暗闇(75~85)


13.第二ターニング・ポイント(85)


14.フィナーレ(85~110)


15.ファイナル・イメージ(110)

 

 といった感じのビートで構成されているらしい。


・1から6までか第一幕

・7から13までが第二幕(分割してもいい)

・14、15が第三幕

 

 という構成である。


 要は

「最初は悩んで、その直後にドーンと盛り上げて、最高の状態から悪者にやられてガーンと谷底へ落とす。でも第二ターニングポイントで復活! クライマックス!」

 といった感じだ。

 

 悲劇だと、これが逆の構成になる。

 ハッピーにして盛り上げておいて、フィナーレで落とすのだ。


 本が売れなくなるので、細かい解説はしない。あしからず。

 詳しく説明してくれているサイトもあるので、そちらを参考に。


 ラノベ作家の わかつきひかる 先生も、自身の著作で、

「小説の書き方の本は、文章こそ上手くなるが、映画やドラマのシナリオ作成方法の方が、面白い話を作るノウハウが詰まっている」

 と仰っている。

 つまらない話だと客が来ず、制作費が回収できないからだ。


 オレの通う小説講座では、BS2を活用したことで、これまでまともに書けなかった人が作品を提出するようになった。

 また、これまで読みづらかった人の作品が劇的に読みやすくなった。


「細部がまとまらない!」

「構成のバランスが悪いと言われた!」

 という方々、一度、試してみる価値はあるのではないだろうか。

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