次は終点、異世界です

　埼玉県川越市が謎の地盤沈下で消滅して三〇年が経った。それでも日本は何も変わらず平和な生活を続けていた。しかし、一つだけ変わったことができた。毎月第二土曜日、東武東上線の最終電車の出た後、にあるはずのない川越に向かって走る電車がホームに入ってくる。
　高校受験に失敗し、半ば自暴自棄になった御白木叶哉《みしらぎかなや》は川越の招待を受けるように電車に乗ってしまう。降りた先で見た幻の川越は半人半獣の亜人《プルシオス》たちが暮らす異世界と化していた。
　奴隷として叶哉を捕まえようとする亜人たちから猫妖精《ケットシー》のミオの手を借りて逃げた叶哉はなんとかして川越から脱出しようと奔走する。