死霊と魔剣と
「
ギルドに戻って一息ついているミオさんに僕は聞いてみることにした。やっと
「そうですね。
名前の通り幽霊みたいな姿をしているらしい。幽霊を倒しに行かなくちゃいけないと思うとなんだか気が重くなってくる。まだ動物のような外見をしている
「
「その
今のところ
「でも地下五階層までで出ることはめったにありません。それにだいたい単体でこちらは道がわかっていますから打開策はいくらでもありますよ」
そう言ってミオさんが僕の不安の拭い取る。
「みんなあしもはやいし、かにゃおにいちゃんはえれなおねえちゃんがかかえてはしるの」
氷雨ちゃんもそう笑っているけど、そんな情けない姿は昨日までで終わりにしたいところだ。僕はもっと強くなって
でもそこまで一緒に行く相棒を見て、僕はちょっぴり不安になる。今はギルドの壁に預けている僕の
まったく研がれていない刀身は僕が触れてもなんともないのに、
もう一度僕は
「どうした?」
相棒を見つめていたのを不思議に思ったのか、勇さんがいつの間にか僕のすぐ隣に座っていた。
「やっぱり僕にはこの
背の高くない僕とほとんど変わらない剣は柄まで含めるとだいたい一五〇センチくらいある。二刀流の勇さんが使っているのを二つ合わせてもこっちの方が長そうだ。それに重さも尋常じゃなくて、これを振るうなんて筋力をつけてとかそんな次元で足りるんだろうかと思えてしまう。
「文句言うな、うちにあるのはその一本だけだ」
ロウさんが茶化すように僕に向かって野次る。
「あるだけで感謝したいくらいのものなんです。叶哉さんならきっと使いこなせますよ。相性も良いようですし」
「そんなに貴重なものなんですか?」
「今現在、川越で確認されている
「
「それは深層階での話だな。他のギルドが拾った場合も持っていない者で剣闘大会を行うのがルールになっている」
深層階、ということはつまりは
「じゃあ、ころしてでもうばいとる?」
「そんな物騒な言葉どこで覚えてきたの?」
言葉の意味は少しも理解していなさそうだからまだいいけど、氷雨ちゃんはときどきよくわからないこと言い出す。
「とにかくないものはないんだから、それで我慢しろ」
「申し訳ないですが、叶哉さんに頑張ってもらうしかないですね」
なんだかこの二人を見ているとお父さんとお母さんを思い出してしまう。また少しだけ帰りたいと思ってしまった。でも僕だって少しずつ前に進んでいる。きっと今でも僕が川越から帰ってくることを願っているはずだ。何人かいる帰還者の中に僕も入ることができるはずだって。
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