概要
【第二回カクヨムweb小説コンテスト 現代ドラマ部門 最終選考対象作品】
シリア・アレッポでロシアと政府軍が激しい空爆を行う中、弟を失った兄はイスラム国(IS)に入りジハード(聖戦)に参加することを決意した。
一方、日本では20億円の横領事件が発生。振り込まれた先は、裏社会と繋がりのある謎の口座だった。その口座の金を追ううちに、同時多発テロ計画を知ることになる。
果たして彼らは、同時多発テロを止められるのか?
香港、シリア、イタリア、ロシア、日本……。
世界を駆け抜ける、国際的バイオレンス・サスペンス。
(登場人物)
イザ:日本で違法武器密輸を行う闇ブローカー
圭吾:多国籍企業・ヤサカホールディングスのCEO
友香:巻き込まれただけ
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!一度読んでみてほしい。今まで気づかなかったことに、気づけるはずだから。
小説を読んでいるという感覚が無く、まるで一本の映画を見ているかのようでした。
日本で起きた横領事件と、海の向こうで計画される同時多発テロ計画。
一見なんの関係性も無いように見える二つの事件。この二件の繋がりが徐々に明白に、形が見えていく様は、ただただハラハラして、目が離せなくなります。
溜めて溜めて、二つの事件が完全に繋がったとき、「溜め」が一気に爆発します。その時の気持ちといったら、言葉では形容しがたいです。
計画されている事件の全容が徐々にわかっていく様と、事件に徐々に近づいていく様にも、また目が離せません。
そして終盤の凄まじい疾走感と臨場感。
その気持ち、本当にダイレクトに味わう…続きを読む - ★★★ Excellent!!!とりま読んでみ?あんたの世界を見る眼、変わるで?
なんだか1つの映画を見ているような、そんな小説。
序盤は流れ的には冗長に感じる部分もなくはないが、それは後々のための布石。後半の凄まじい疾走感と緊張感のための伏線に過ぎない。
...過ぎないはずなのだが、それはそれ。話の流れが平坦だからこそ、作者様の豊富な知識や綿密な調査による圧倒的リアリティが匂い立つ。
ここまでは小説的視点だったが、中身も凄い。
手軽に書けるという部分が脚光を浴びるネット小説の界隈でまさかシリアやISを題材にした作品があるというのに驚いた。
久々にネット小説の「作者がいくらでも拘って世界を創れる」という特徴が前面に、いや全面に出た作品を目の当たりにした気がする。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人間がいる限り。
面白かった。すごかった。どんどんと作品の世界に引き込まれ、中盤からラストまで一気に読んでしまった。
……やはり。読了後なかなか言葉が出ず一日置いてみたが、あまり変わらなかった。かといって、数か月おいてからレビューを考えても同じ気がするので、今書こう。
さて、本作はIS(イスラム国)を題材にした現代ドラマ。
『テロとの戦い』を描いた、というより、『テロから見える様々な人々』を描いた作品といった感じだ。
空爆で弟を失いISへと入ったエルカシュ。
エルカシュの親友であるが、難民としてドイツへ行ったウマル。
表の世界で活躍する圭吾と、裏にいるイザ。
そして、いつの間にやら事件に巻き込まれた友…続きを読む - ★★★ Excellent!!!これは本当に、フィクションなのか――?
シリアの空爆と、日本の横領事件。
一見すると関連のなさそうな二つの事件が、しかしあるところで繋がっている。
この作品はフィクションだが、今まさにこの現実世界で類似の事件が進行しているのではと思えるほどのリアリティがある。
そして復讐に燃える彼らもまた、耐え難い苦しみを受けた一人の人間であるという衝撃。普段耳目に触れる情報からは感じることのなかったものだ。
その一方で、ラストの飛行機内での攻防、迫るタイムリミットとの戦いは手に汗握る思い。
それになにより、何ら特別ではない人々が協力して困難に立ち向かう、その展開が私にとって最高だった。
主人公のイザは銃器の扱いに長けているとは言っても、戦闘力…続きを読む - ★★★ Excellent!!!様々な出来事が重なって、やがて一つの物語となる
前半は、世界各地の色々な話を書かれていて、後半は、徐々にまとまって……こういう展開好きです笑
また、イザたちの手に汗握るアクションに、ハラハラさせられ、興奮しなら読んでいました。
たくさんの銃が登場し、裏社会というものにも、何か感じました。
そしてイスラム過激派。この作品を読んで、自分たちが彼らのことを誤解している部分もあるのではないだろうか、と考えさせられました。
もっと色々な視点から物事を見つめるべきなのかな、と思いました。
アクションにハラハラしながら、また、紛争地域の人たちについても考えさせられる。全てが詰まった作品でした!