撃ち落とされるまで、あと何分?

作者 飛野猶

341

117人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

小説を読んでいるという感覚が無く、まるで一本の映画を見ているかのようでした。
日本で起きた横領事件と、海の向こうで計画される同時多発テロ計画。
一見なんの関係性も無いように見える二つの事件。この二件の繋がりが徐々に明白に、形が見えていく様は、ただただハラハラして、目が離せなくなります。
溜めて溜めて、二つの事件が完全に繋がったとき、「溜め」が一気に爆発します。その時の気持ちといったら、言葉では形容しがたいです。

計画されている事件の全容が徐々にわかっていく様と、事件に徐々に近づいていく様にも、また目が離せません。

そして終盤の凄まじい疾走感と臨場感。
その気持ち、本当にダイレクトに味わうことが出来ます。

自分が本当にその場にいるような、現実味のある緊迫感とスリル。
ぜひとも読んで体験してほしいです。

タイトル回収のタイミングも見事としか言えません。
回収に、ここ以外でぴったりな場面は無いというほどベストタイミングです。


と、ここまで色々書きましたが、この小説が伝えたい事は、「当たり前の事だけれどとても大切なもの」です。
それは一見小さいように見えて、でもとても大きく、生きる上で私達にとても
必要なもの。
ここに出てくる登場人物を通して、それを知る事が出来ます。

人を憎む気持ちは誰にでもある。
誰でも、争いを起こしかねない火種を持っている。
復讐の心を持つことは当然のこと。そしてそれを頭ごなしに否定することは誰にも出来ない。
でも憎しみの裏、根本にある思いは誰でも同じ筈。
幸せに、過ごしたい。何でもない日常を、繰り返したい。
その日常を大切に想う気持ちは誰でも同じ。

詳しい事は言えないのですが、終盤、息も詰まりそうな緊張感と疾走感の中で、
そのことがよく伝わる出来事が起こります。

憎しみからは憎しみしか生まれない。
その連鎖を断ち切ることは至難の業。
色ん… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

なんだか1つの映画を見ているような、そんな小説。

序盤は流れ的には冗長に感じる部分もなくはないが、それは後々のための布石。後半の凄まじい疾走感と緊張感のための伏線に過ぎない。
...過ぎないはずなのだが、それはそれ。話の流れが平坦だからこそ、作者様の豊富な知識や綿密な調査による圧倒的リアリティが匂い立つ。

ここまでは小説的視点だったが、中身も凄い。
手軽に書けるという部分が脚光を浴びるネット小説の界隈でまさかシリアやISを題材にした作品があるというのに驚いた。
久々にネット小説の「作者がいくらでも拘って世界を創れる」という特徴が前面に、いや全面に出た作品を目の当たりにした気がする。


作中人物の平和への考え方なども心に過るモノがあり、エンターテインメント性だけに囚われて作者の魂が入ってない小説とも一線を画している。
ネタバレしたくないので内容に言及できないのが残念だが、このようなレビューを読む程この小説に惹かれた方は一読してまず損はないだろう。
是非あなたの常識をひとつ、壊してみてほしい。

★★★ Excellent!!!

面白かった。すごかった。どんどんと作品の世界に引き込まれ、中盤からラストまで一気に読んでしまった。

……やはり。読了後なかなか言葉が出ず一日置いてみたが、あまり変わらなかった。かといって、数か月おいてからレビューを考えても同じ気がするので、今書こう。


さて、本作はIS(イスラム国)を題材にした現代ドラマ。
『テロとの戦い』を描いた、というより、『テロから見える様々な人々』を描いた作品といった感じだ。

空爆で弟を失いISへと入ったエルカシュ。
エルカシュの親友であるが、難民としてドイツへ行ったウマル。
表の世界で活躍する圭吾と、裏にいるイザ。
そして、いつの間にやら事件に巻き込まれた友香。

彼らがそれぞれテロに対して、どう思っているかとか思っていないとか、巻き込まれてどうするのかしないのか。

境遇が違えば、見えるものも違う。境遇が同じっぽくても、見えるものが違うこともある。

ただ、人間はたいていどこかしら共通する感情を持っている生き物だ。
愛する人を奪われ、殺されたら悲しむ。憎しむ。殺し返そうとする。

テロリストだから……テロリストだからこそ、彼らは人間なのだ。

テロ行為を行うことは、人間を捨てることではない。
そこに人間が、人間の感情があるからこそ、テロは……

現在、ISは壊滅状態だそうだ。
ただ、その根本を解決しなければ何にも変わらないのかも知れない。

そこに、人間がいる限り。人間を痛めつける問題がある限り……



膨大な知識量から構築されたリアリティーは、毎度驚きを受ける。
本作を読む前に、『銃と刃と八百万の神』という同作者の別作品を読んだときに感じた時のものと同じくらいのものだ。
設定が細かく、どこまでもズームしてもぼやけない世界がここにある。

個人的に『銃と刃』では圭吾の活躍が印象深かったが、本作ではイザがめちゃくちゃ格好良くて、惚れ直し… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

シリアの空爆と、日本の横領事件。
一見すると関連のなさそうな二つの事件が、しかしあるところで繋がっている。
この作品はフィクションだが、今まさにこの現実世界で類似の事件が進行しているのではと思えるほどのリアリティがある。
そして復讐に燃える彼らもまた、耐え難い苦しみを受けた一人の人間であるという衝撃。普段耳目に触れる情報からは感じることのなかったものだ。

その一方で、ラストの飛行機内での攻防、迫るタイムリミットとの戦いは手に汗握る思い。
それになにより、何ら特別ではない人々が協力して困難に立ち向かう、その展開が私にとって最高だった。
主人公のイザは銃器の扱いに長けているとは言っても、戦闘力はさほどでもない。彼一人では何もできなかっただろう。
一人だけでは何も変えることはできなかった。
しかし、イザや圭吾、友香やエルカシュ、偶然その場に居合わせた人々――その一人一人が立ち上がったからこそ、あのラストはあったのだ。

★★★ Excellent!!!

最初に言っておこう! これは書籍化するべきです!本棚に並ばないと勿体無い!久しぶりの男臭い格好良さに惚れた作品です。
大人の作品。大人の世界。身近のあるかもしれない世界。それが痺れるほどにカッコイイんです!

作品中に出てくるキャスト(この書き方であっていないかもですが ご了承ください)も味があるのです。

最後の最後まで引っ張って行かれますよ! 飲み物を用意してこの世界にのめり込んでください!


星三つです。ありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

前半は、世界各地の色々な話を書かれていて、後半は、徐々にまとまって……こういう展開好きです笑

また、イザたちの手に汗握るアクションに、ハラハラさせられ、興奮しなら読んでいました。
たくさんの銃が登場し、裏社会というものにも、何か感じました。

そしてイスラム過激派。この作品を読んで、自分たちが彼らのことを誤解している部分もあるのではないだろうか、と考えさせられました。
もっと色々な視点から物事を見つめるべきなのかな、と思いました。

アクションにハラハラしながら、また、紛争地域の人たちについても考えさせられる。全てが詰まった作品でした!

★★★ Excellent!!!

山野ねこ氏の近況ノートに紹介されていたので拝読しました。大変面白かったです。
主人公のキャラ設定が良いです。憎しみの連鎖に対する主人公の距離の置き方が自然になっています。更にアクションを繰り広げさせても様になる。しかも、ジェームズボンドではなく、現場に出たジャックライアン程度の決して荒唐無稽ではない活劇を幾多も配置させて、読者を飽きさせません。
山野氏がイスラム3部作として称賛するのも頷けます。
イスラム3部作の残る梧桐彰氏の「右カウンター赤道より」も読んでみようと思ってます。

★★★ Excellent!!!

 Twitterで「カクヨムイスラーム三部作」なるものを見かけ、別にイスラム圏に格別強い興味があるわけではないけれど既に二作読了済だったのでコンプ欲求から読んでみた最後の一作。まんまとハメられている気がします。こういう人間は課金式スマホゲームに手を出してはいけない。

 さて、この作品の良いところはなんといっても厳密な下調べに裏打ちされたリアリティ……なのは間違いないのですが、それはもう他のレビュワーさんが散々言及していますね。だいたい、僕はこの作者様の作品を既に三作読んでいます。つまり創作におけるこの方の武器がリアリティであることは百も承知なのです。その上で「リアリティがあって面白かったです!」なんてレビューを残すのは、京極堂シリーズに「妖怪について博識で面白かったです!」って感想を残すぐらい無意味じゃないですか。いや、『姑獲鳥の夏』はいいですよ。一作目だし。でも『魍魎の匣』以降もその感想なのは違うでしょ。お前どんだけ妖怪好きなんだよってなるでしょ。というわけで、僕はちょっと別のところを推したいと思います。

 それは、読者を物語へ引き込むテクニック。

 僕もよくやらかすミスなのですが、カクヨムで長編を読んでいると「話が大きな起承転結一つで終わっている」作品によく出くわします。始まり(起)と終わり(結)と見せ場(転)をイメージしてその間を繋ぐ(承)という創作法を取るとこういうことになりがちなのではないかと(僕がモロにこれ)。それの何が問題かというと「承」パートが間延びしやすいんですね。起伏のない展開が読者の途中離脱を招いてしまう。

 この問題への対策は色々あります。群像劇的に複数の「起」「承」を用意してワクワク感を煽ったり、ミステリー的に「承」を短く「転」を連発して読者を驚かせてみたり。しかしおそらく一番オーソドックな手法は大きな起承転結の中に小さな起承転結を入れ込… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

カクヨムの作品というのは基本的にフィクションです。今作も、実際に起きた事件や実在の人物が厳密には登場するわけではありません。
しかしそれでも尚、作中に出てきた人物と同じような人間がこの世界にいて、同じような悲劇を味わい、この作品世界とほぼ同じ世界に自分達は生きているのだと、深く思い知らされました。
そう感じるのは他のレビューでも書かれているように、豊富な知識と綿密な取材から来るリアリティの為せる技です。フィクションを限りなく現実とする技術こそが、この作品の最大の長所であり魅力だと感じました。

緊迫したサスペンスものとしても、手に汗握る展開の連続でした。国も経歴も違えど、それぞれの登場人物に存在するバックボーンが、うまく読者の中に入っていけたからこその緊張感だと思います。
テロやISといった題材は、取り扱うのは難しそうに見えます。そして読者を楽しませるのはもっと困難だと思います。それでもこれほどの評価を受けている、という事自体がこの作品の面白さを示していると思います。
読めば必ず、作者さんの巧みな手腕に魅了され、感情を揺さぶられる事間違いナシだと思います。お見事でした。

★★★ Excellent!!!

海外や裏社会の描写のリアリティ、息を飲むようなクライマックスの緊迫、そして何より世界情勢に振り回される人々の心情を上手く描き出した作品だったと思います。
扱っているのがアンダーグラウンドなものなのに語られているのは絆だったりして、その辺もグッときました。

★★★ Excellent!!!

リアルな設定や、正に¨今¨起きているテロの恐怖、そして最終局面へと盛り上がるストーリー。
とても面白く一気に読んでしまいました。
その中で、私が特に感じたのは、家族というのは誰にとっても大切な、特別な存在なのだということです。
弟の動画を見て涙するエルカシュに共感し、私も涙が止まりませんでした。
機内でイザが娘の事を思い出し、死にたくないと恐怖する。
本当にそうだと思います。自分の死は怖いけれども、それよりも家族に二度と会えない、自分が死んだらどんなに悲しむだろうか、それを思わずにはいられない。
己の身と同じくらい、もしかしたらそれ以上に、大切な存在が家族なのかもしれません。
この小説を読んで、家族愛を再認識しました。

次回作も楽しみにしております。

★★★ Excellent!!!

なんと書けばいいのかずっと分からず、あんなに心揺さぶられたのに、なかなかレビューが書けなかった。

とりあえず第1話で泣いた。
そして第6章は泣きっぱなしだった。
(ちょっと涙腺おかしいくなったんじゃないかと心配になった)

それは、この作品に多くの人生がぎゅっと詰まっているからだと思う。
いわゆるモブと言われる人々にも、尊い人生があるのだと、改めて気づかされた気がする。

エルカシュ。彼はきっと元通りの生活には戻れないし、戻ることは許されないのだろう。でも、それでも、彼の人生にもう一度明るい花々が咲き乱れることを祈りたい。そして、アレッポの街にも。


(あーこれを書いてるうちにも思い出して泣けてきた)

★★★ Excellent!!!

この小説はダーイッシュ(IS)の問題について、非常に公平な視線から描かれた小説であると言える。
街を破壊され、その怒りや悲しみがダーイッシュへ掻き立てる。しかしその悲しみは連鎖させてしまう…。
テロの難しさや、そして痛みに対し、ウェブ小説としても、ウェブの3文字を除いた小説としてもきちんと調査を加え、さらにはS7航空という実在の航空会社の実在する便を使用するなどのこだわりまで見せながら冷静な筆致で伝えることができた、まさに空想のジャーナリズムといえる作品だろう。

この作品に出会えてよかった-
心からそう思える作品であるといえる。

★★★ Excellent!!!

フィクションとは言え、実際のテロ組織、国家などが出て来ており、それも詳細に調べあげたうえで書かれた作品。
実際に起こったものであるかのようなリアリティ溢れる物語ですね。
ある作家さんが仰っていました。「作家とは物語の中で如何に巧みに嘘をつくかである」と。まさにこの通りで、真実味を帯びています。
実在するテロ組織という、ともすればタブーともなりかねないテーマに一石を投じるものと言えましょう。
絵空事では無く、実際に起こりかねない話に、考えさせられるものがあります。

★★★ Excellent!!!

現実社会を舞台に展開される、膨大な知識に裏打ちされた、しっかりとした物語です。

銃火器の扱いや、ハイジャックでの飛行機内部の描写、細かい描写のリアリティが素晴らしく、引き込まれてゆきます。

ストーリーの中心に、IS(イスラム国)のテロがあり、舞台は文字通り世界中を飛び回ります。それらを、違和感なく表現し、自然に物語の中に連れて行ってくれる、作者の文章力と知識に脱帽しました。

そのような知識的なことを読む楽しみもさることながら、メインストーリーは、まさに手に汗握るドラマです。単純に、エンタテイメントとして素晴らしい仕上がりになっています。

誰にでも、自信をもって薦められる快作です。

★★★ Excellent!!!

豊富な知識を持っている作家さんはたくさんいらっしゃるが、知識を落としこむのが上手い作家さんは稀であるように思う。そして、こちらの作者様がその稀なケースに該当する。
この銃、密輸、ハイジャック、イスラム。豊富な情報量を感じさせないスピーディーな展開。それでいて登場人物の丁寧な描写で説得力のある展開になっている。
個人的にイザのキャラクターがこの作品限りなのは勿体なく思う。
イザが活躍する続編が読みたい。
そう思う私はこの作品の魅力に撃ち落とされているのだろう。

★★★ Excellent!!!

戦争や戦闘、裏社会など、自分には無縁とも思えることがリアルな描写で描かれており、思わず息を呑んでしまう展開に引き込まれました。
自分がテレビで表面的に見ていた中東の戦争についてもこの小説を読むことで知り、とても衝撃を受けました。ここまで知らなかったのか、と。
そして最後の展開には登場人物のように手に汗を握り、読み終わった後には背中に汗を掻くほどでした。

面白いという言葉は適切ではないと思うので、次の言葉で表現させてください。
素晴らしい小説です。

★★★ Excellent!!!

テロリズムというシビアなテーマを扱ったリアルサスペンス。現実とどこまでも地続きの世界観のなか、嘘や虚飾のない本当の「戦い」をまざまざと描き出す作風に惚れました。

創作者様には文章力と取材力がセットで備わっていなければならないと痛感させてくれうる一作でもあります。

★★★ Excellent!!!

こういう物語を若い人は、なるべく若いうちに触れてほしいなと思いました。

先ずこの『撃ち落とされるまで、あと何分?』は地の文の力が秀逸です。物語の題材が今現在の世界にも起こり得るテロを取り扱ってるんですが、そうした世界情勢にも絡む程の大きな題材なら、地の文のバランスには凄く気を使うのは間違いないでしょう。

地の文には書き手の特色や主観が入り易いという一面があり、どれかの立場の人物をピックアップした文を書けば、片方の立場の人物には『悪い』方の立場であるみたいな空気が流れ出す…

勧善懲悪モノならともかく、テロを狙う側にもそれまでの人生から来る止むを得ない事情が存在するという、このリアルを扱う物語でそうするのは物語の意図がきちんと伝え切れない危険を孕むものだという気がします。

その点この物語での地の文は全ての立場の人物に対して、平等と言える程の公平性を終始保ってくれています。
ここが私が若い人にもオススメ出来る理由なのです!(机ばーん!!)

お仕着せではなく、老若男女全ての読み手に対しても平等な居心地の良い文章。それは正に読み手に自分の見知らぬ世界への扉を開き、その厳しい現実を飾らず、しかしある意味で優しく垣間見させてくれるのです。

だから銃とか外国の街並みとか多彩な人物達の心情とか、すんなり理解出来る!馴染みが無い事にもなんだか詳しくなったような気になれる!心が世界の方に向く!…それは読み手の普段の暮らしにも何かしらの深みを持たせる事でしょう。

全然世界情勢に詳しくない私がそうなったんだから!!

(ここからは特に若い人に向けての言葉)

若い方々、ホントはこういうスリルのある、どこかワルな大人の世界覗いてみたいんでしょ?分かる分かる、私もそうだったから笑。

今のうちに背伸びしちゃいなって。苦く、でも深みとコクのあるコーヒーを、これ飲んだら大人になった気がするみ… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

ぐいぐいぐい引き込まれます。

出だしから、弟が亡くなります。それに、空を見上げて復讐を誓います。

復讐心、これは、戦争や紛争のもとでもあります。

登場人物の名前が多国籍な上、内面と裏腹で暗示する名であったり、工夫をされています。

子供向けではないけれども、ジハードが何か分かっていたら、読める様に語彙に気を配られています。

銃のポリマー、凄かったです。

こんなからくりで密輸を試みるとは。

楽しんでください。

ぺこり_(._.)_

★★★ Excellent!!!

冒頭の無差別攻撃から始まる、抑え切れない負の感情の悲劇。
そして東京から始まる、ちょっとした事件。
そのふたつが思わぬ関係性を見せて絡み合っていく様子が面白く、特に後半の『へぇ、当たった。それなら今、俺、乗ってるよ』のセリフには鳥肌が立った。
ややタイトルの部分に辿り着くまでの流れが長いようにも思うが、13万字という文字数を全く感じさせない、ぐいぐいと読者を作品に惹きつける力はお見事の一言に尽きる。

また、エンタメ作品でありながらも、作中や追記にて書かれているように、敗戦からの復興を果たした日本は今の時代にこそ担うべき役割があるのではないかという問い掛けには考えさせられるものがある。
人類の滅亡までの時間を示す「世界終末時計」なるものがあるが、その時間を止めることが出来るのは、案外自分たちなのかもしれない。

★★★ Excellent!!!

 twitterで作者さんをフォローさせていただいているので、流れてくるTLから中東情勢のお話だというのは予備知識はあった。
 タイトルに「撃ち落とされる」とあるので、なるほどRPGでヘリコプターを落とす側あるいは落とされる側の戦争アクション的な話なのかな――とか思ってたら全然違った。

 超濃厚な軍事サスペンス。
 テロ集団とひょんなことからその尻尾を追うことになったアウトローとその仲間による、世界を股にかけた追跡撃。

 ひとこと紹介にあげたその三要素が、国境を越えながら見事に絡み合い最後の瞬間へと繋がる、そのストーリー運びは見事としか言うほかありません。
 そしてこの話を語る上で欠かせないのがシリア情勢とISの内情。
 目を覆いたくなるような事実――今現在、この世界に起こっている悲劇その連鎖の一端が、架空とはいえここには描かれている。

 はたして主人公イザは――いや人類は、この悲劇を回避することができるのか。

 謎とスリル、多くのアンダーグラウンドのエッセンス、イスラム世界への敬意、そしてこの世界への問題提起を含んだ本作品。
 映画館に見に行かなくっても、これはカクヨムで読めるのだ。
 オススメです!!

★★★ Excellent!!!

この作品の一番の魅力はやはり実在する言葉を用いてよりリアルに近づけている点と言えます。
やはり、実在する言葉を用いることでより作品に引きつける力があるというのがこの作品のいいところです。
そして、何よりも言いたいのは実在する言葉について本当によく調べていることがよくわかることで、どの言葉もきちんとした箇所で使われており、より一層物語に引き込んでくれました。
最後にかけての展開は緊張感がありはやく読みたいと思わせるほどの完成度で非常にサクサクと読み進めあっという間に読み終わってしまいました。
また、完成度を支えるための様々な要素、登場人物の魅力であったり、舞台の設定であったりと言ったものがやはりきちんとしているからこその最後であると大きな声で言わせてください。
現実的なお話が好きな人ならぜひ読んでみてください。

★★★ Excellent!!!

何ともタイムリーな題材を扱ったサスペンス小説でした。
基本的な内容は、概ねあらすじ通りなのですが、物語の根幹を支えている物語背景のリアリティには脱帽。

そして、それら一つひとつの要素が有機的に接続し合って、無駄なく一本の物語の筋立てを構成している、作者さんの高い作劇技術に感嘆せざるを得ません。
リアリティのある設定が単純に網羅されているわけじゃなく、何と言ってもちゃんとストーリーを描き出す上での意味を持って結び付いているところが素晴らしいのです。

世界各地で連鎖的に動いていた複数のストーリーラインが、物語中盤前後から綺麗に一本のメインエピソードへ収束していく展開の美しさはお見事。
本格派の硬質な社会派ドラマがお好きな方は是非ご一読を!

★★★ Excellent!!!

作者様の頭の中はどうなっているの知りたくなるほど凄いと思いました。

この作品を作り上げるためにどれ程の知識を取り入れたのか、測りきれません。恐らく相当な知識を詰め込んで、時間を掛けた作品なのでしょう。

ざっくり流し読みで読みましたが、今度はゆっくりと読みたいと思っております。

凄い作品を読ませて頂き、有難う御座いました。

★★★ Excellent!!!

息もできないほどのスピーディーな展開とはまさにこのこと。
読み終わって、なんだか息苦しいよと思ったら息してなかったよ。
私の下手なレビューなんか要らないよ、もう読んでよ、とにかく。

あ。機長。悶絶級にかっこええ。
一番いいとこ掻っ攫っていきやがった。ちくしょー、かっこええ!
あーちきしょ、かっこええなぁ、もう。

(紙の本で読みたいなぁ)

★★★ Excellent!!!

 いやー、堪能した。

 あらゆる意味で読者を満足させる作品だと思う。

 この作品を与えてくれた作者には賛辞を贈るし、また評価してくれた読者仲間にもお礼を言いたい。

 みんなが☆をつけてくせなかったら、本作の存在に気づかなかったかもしれないから。

 楽しい時間をありがとう。時を忘れて読みふけりました。

★★★ Excellent!!!

現代の裏社会や、激変する世界情勢を描いた社会派サスペンス。
あまりこういったジャンルになじみがない人にも、いやなじみがない人にこそ、お薦めしたい作品です。
自分がそういう部類の人間なのですが、そんな私でも脱落せずに(むしろ夢中になって)読めました。

横領事件やペーパーカンパニー、IS、ハイジャックと、話が進むごとにスケールが大きくなっていき、最終章ではずっとハラハラドキドキの展開が続きます。
描かれるシーンはどれも非常にリアルで、こんな事件がいつ自分の身近なところで起こってもおかしくないのだ……と思い知りました。
特に、膨大な資料に裏打ちされているに違いないIS関連の記述は知らないことが多く、頭を殴られるくらいの衝撃がありました。

扱うのが難しいテーマを、見事にエンタメ作品に落とし込んだ作者さんの努力と力量に頭が下がります。
叶うならば、現代日本に生きる人たち全員に読んでほしい、そんな一作です。

★★★ Excellent!!!

作者の知識量と卓越した構成力が読者を圧倒します。
カクヨムでは見かけない本格的な国際ハードボイルドサスペンスでした。
そのくせ、文章は固くなりすぎず、とても読みやすいのです。
フィクションなのにとてもリアルなこの作品は、途中で読むのを中断するのがとても辛いので、時間があるときに一気読みしてほしいです。
これは四六判ではなく、ハードカバーで読みたいです。
また、物語のスケールが大きく、絵的に見栄えがしそうなので映画化などのメディアミックスにも向いていると思います。

★★★ Excellent!!!

戦場ジャーナリストから直接お話を聞くような、そんな感覚を伴った力作でした。善悪を一度リセットしてから読み進めると『こんな見方もあるのか』と想像を喚起させられます。これはもしかすると作者様からのメッセージが隠されているかもしれませんね。平和な日本だからこそ私達が読むべき生々しい物語(現実)。終盤の海外映画のような展開も必見です!

★★★ Excellent!!!

ものすごくリアリティのある物語でした。
そこにあるものは現実なのではないかと疑ってしまいます。
作者さんのとてつもない知識量とそれを補うための多くの資料。そしてそれを駆使することのできる実力が文章全体から伝わってきました。

事実最近のご時世ではこの手の話がよくニュースで話題になっています。その現実と小説というフィクションを繋ぎ合わせることで見えてくるものもありました。

今の若き世代にはぜひ読んでもらいたい。なんなら日本人だけでなく、他の国の人にも読んでもらいたいなぁと思ってみたりもしました。いや、まずいかなぁ。

とにかく、誰もに読んでもらいたい。そして世界情勢というものの一端でもいいからこの小説から見通してほしい。

★★★ Excellent!!!

 散りばめられた謎や国際的な問題が、登場人物たちのリアルな肉声で語られ、物語が紡がれていく、そんな印象です。
 この作品世界の背景にあるのはIS,イスラム国に属している人たちのテロ行為に至るまでの過程。
 敬虔なイスラム教徒たる彼らにとって死は終焉ではなく、天国へ至る道筋。

 日本人にとってごく当たり前な飲酒喫煙でさえ禁忌とみなされ、これを破れば厳罰に処される。
 人間の尊厳さえ踏みにじられた彼らにとって諸外国こそが悪。
 これらはニュースなどで語られることがなく、ただ犯行声明と被害状況が告げられるだけです。

 この作品はそんな彼らの側までも語った上で、世界各国を舞台にした、ガンアクション、情報戦、時間制限の中での息詰まる闘いが描かれています。

 登場人物のリアル、これが読む側に伝播する作品です。

★★★ Excellent!!!

物事の一面だけをみれば、非人道的な行ないは許されるものではない。
しかし、その細部にまで目をむけると、どうなるのか。
まだまだ見えないものがたくさんあるはず。
そんなことを教えてくれる物語でした。
決して美化することなく、善悪を語る物語でもない。
悲しみ、憎しみ、喜び、狡さ。
どんな出来事が起ころうと、それは人に心があるから。
そんなことを考えました。

つよい緊迫感とリアリティが見事に表現されて、ラストへと近づくにつれて、手に汗を握っていました。
人を守るのも、殺すのも、やっぱり人なんですね。

★★★ Excellent!!!

テロは悪である。そう言ってしまえば簡単なことだ。理由のない殺戮はあってはならない、人を人とも思わぬ残虐な行いを許してはならない、無関係の人を巻き込むような大量虐殺は非人道的である。この話を読む前のぼくは、こんな感情でいた。テロリストは悪であり、即刻排除されるべきだと。だから彼らが抱いているかもしれない傷ついた心や、奪われたもののことなど考えもしなかった。けれど、これを読んで、その風景や人々の苦しみを知って思ったのだ。優しさが、痛みが、銃を待たせ、やり場のない怒りが復讐の刃に変わってしまうかもしれない現実を、その重みを……

ぼくたちがその痛みを少しでも知ることができたなら、奪われたものの大きさを少しでも分かることができたなら、明日という未来を変えられるかもしれない。悲しみの連鎖を緩めることができるかもしれない。そんな願いがこもっているように思われた物語。リアリティと共に、届け、あなたのその胸に!!

★★★ Excellent!!!

正直、読んでて鳥肌が立ちましたよ。
映画か。映画なのか。これは映画ですか。
前後編くらいの長さの。

……という驚きが先ずあった。

ともかくも、最初から最後まで全くダレない。
適度にガス抜きしつつも(←重要)、緊張感がビリビリと続く。
終始、東野圭吾氏の「天空の蜂」を読んだ時のようなピリピリ感があった。

背景情報がガッチリと固められているのはもう言うまでもなく、登場人物たちの「内側」にあるものが極めてリアル。当事者になったことがないし、なりたくもないから推測になるのだけれども、たぶんリアルなんだと思う。

そして時系列がほとんど「今現在」。
まさに、「今そこにある危機」。実際問題、明日にもこの物語と同じことが起きたって不思議がない。その過度なほどのリアルさが、物語全体に異様なオーラを纏わらせている。

そのまま書店に並んでいても、
なんら違和感がない逸品である。

★★★ Excellent!!!

物語はシリアのアレッポから始まる。空爆によって大切な弟を失った兄のエルシュカの復讐の誓いから、この現実に即した物語は始まるのだ。

これは現実のテロリズムを描いたフィクションであり、僕たちが明日にでも遭遇するかもしれない9・11後の可能性の一つだ。

IS(イスラム国)のテロの手口や、組織の在り方などを分りやすく解説しながら物語は進み、そのガイド役たる主人公は、闇ブローカーで仲介屋のイザという男性。不法滞在者でもある彼のアウトローな視点で、緊張感のあるシーンが紡がれていく。彼はひょんな頼まれ事から消えた金の行方を追いはじめ――香港、イタリア、ロシアと各地を回る。その先々で出会いやトラブル、そして事件があり、アウトローな彼の心にも変化が現れていく。

最終的な舞台となる航空機の中でのやり取りは、ものすごく現代的で現在的であり、すさまじいリアリティをもって僕たちに迫ってくる。明日、我々の乗る航空機のどれかが、そうなってもおかしくはないと思わせる描写の数々が襲い掛かる。

作者は9・11同時多発テロの際に、唯一目標に達しなかった航空機『ユナイテッド93』の辿らなかった未来を描きたかったと語ったが、それは成功していたと思う。ヒーローもヒロインもいないアウトローによるテロとの戦いを――ぜひとも多くの人に読んでもらいたいと思う。

そして、9.11後の世界の行く末を案じてほしい。

★★★ Excellent!!!

 シリア情勢、ISやマフィアの暗躍、戦闘。破壊される街と命を奪われる人々。
 今、日本に住んでいる我々には遠い国の出来事で、近づかなければ関わることのない、まさに物語のような現実です。
 それをとてもリアルに、身近に感じさせるこの作品は、これらの問題を我がことのように考えさせてくれます。

 それだけではなく、エンターテイメントとしての役割も十分に果たしており、特に、タイトルの意味を理解できてからのクライマックスは目が離せません。
 それは、登場人物達に十分に感情移入できるからであり、主人公だけでなく、たまたま飛行機に乗り合わせていた人々も誰一人欠けることなく助かってほしい、と強く願わない人はいないでしょう。
 それほどまでに魅力的に人物が描かれ、ハラハラさせる展開で心をひきつけるのです。

★★★ Excellent!!!

現実世界で起こっていることは、どんな物語より激しく、残酷で・・・風来坊然としたその男の瞳孔が暗示するものは歩んできた人生の壮絶さ。
決してそれは悪に導かれた訳ではなく、普通に生きているだけでそこに追い込まれる人達がいる。それがありのままの現実なのでしょう。
麻薬と武器の売買に手を染めた男は少年のような無邪気さを持ち合わせ、ISISに身を投じた男は弟思いの優しい青年・・・
圧倒的な知識量で再現された作品世界はそこに住む人々の吸う空気までを映し出し、人間がそれぞれ今の生き方に辿り着く過程は決して机上の論理でその善悪を判断できるものではないことを教えてくれます。

仕掛けられた陰謀は今まさに潜入中の何者かが考案の最中であってもおかしくないほど練り込まれており、それを阻止せんとする者たちとの高度な駆け引きが極上のスリルを伴ってグイグイと読者を引き込んでいく・・・そのプロットの精巧さに畏敬の念を抱かずにはいられません。

現実を生きる者たちをいよいよの場面で奮い立たせるのは、あるいは踏みとどまらせるのは、善悪についての賢しげな説法ではなく、人と人との絆であり、愛であり・・・
現実の世界情勢をリアルに描いた作品が作者の国際論の投影と化すのはよくある話ですが、あくまで議論でなく出来事をベースに展開するこの物語はそのような押し付けが一切なく、それぞれにとって大切な人の為に万事を尽くすことがいかに大切かを教えてくれている気がします。