このお話は、TS(トランスセクシュアル)の主人公が、平和でありながら強大なソ連のような国に転生していく過程を美しく描いています。強く、誇り高い国で、軍人たちは深い名誉を持ち、指導者たちは平和を大切にしているという環境の中、強さと平穏の二面性を探ることができます。主人公は空を飛ぶことに魅了され、空軍に入隊し、名門の航空クラブに所属することに決めました。飛行機への情熱と、自分の国の強さへの信頼が、戦争が自分の国に届くことは絶対にないという自信に繋がっています。だって、誰もこんなに強い国に挑戦することなんてできないでしょう?
でも、その平穏の裏には不穏な兆しが見え隠れしています。隣国のドイツのような国が経済崩壊と内乱に苦しんでいて、平和に向かっているように見えます(?)。それが物語に興味深い緊張感を与えて、主人公が戦争の可能性を考える場面が印象的です。「Si vis pacem, para bellum」—平和を望むなら戦争に備えよ—という言葉が物語を通して響いているように感じられます。この言葉が教えてくれるのは、平和を守るためには戦う準備が必要だということです。
たとえ混乱が迫っても、主人公は自分の国が勝つと信じています。だって、前世のソ連だって勝ったのだから、今の自分の国はもっと強いので絶対に負けることはないと。
この物語は、名誉、平和、そして力がもたらす試練についてのテーマを見事に融合させています。平和の中にも、戦いの可能性がいつもそばにあることを教えてくれる、感情的にも知的にも心に残る素敵な物語です。主人公が国への信頼と空を飛ぶ夢を抱いて進む姿は、強さと平和の複雑さを深く感じさせてくれます。