概要
【あらすじ】 高校3年の晴野楪(ゆずりは)は、同級生の青葉や2年生の灯香たちと放送研究部で校内ラジオや映画制作に勤しんでいる。そんな楪は、実は灯香のことが好き。普通でないことに苦しみながらも、彼女と過ごせる日々が幸せだった。
ある日、楪のスマホに謎の番号からメールが来た。「男子のこと、好きにならないの?」 驚いていると、同じ番号から着信が。電話の相手は秘書子、スマホの秘書機能だった。人工知能を搭載したウィルスが侵入し、秘書子が駆除したものの、人工知能だけ秘書子の中に残ったらしい。
秘書子は、ネットの検索内容などから楪が女子を好きであることを知ったらしく、「男子を好きになった方が幸せに
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- ★★★ Excellent!!!切ない境界線、出会えた『親友』
機械的にみて、正しい。幸せ。
世間一般的にみて、おかしい。不幸だ。
そう線を引いてしまうことは思うよりも容易く、ゆくゆくは自らを抑止するしがらみと成り果ててしまう恐れがあります。
けれど純粋で尊い想いには、普通も間違いも元より存在しないのではないでしょうか。
どんなに困難な壁が立ちはだかろうとも、諦めさえしなければ、可能性は確かにそこにある。そんな大事なメッセージを、やるせない心の葛藤を乗り越えた主人公・楪の生き様が、読者である私たちへと魅せつけてくれたように感じました。
とはいえ独りで進むには心許ない道のりであり、楪のように事あるごとに言いようのない不安に見舞われ、道半ば挫けてしまうこと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!最後の文化祭。女子高生は、恋も部活も一生懸命。
高3の楪(ゆずりは)は、同じ部の後輩・灯香が好き。
しかし、スマホに宿ったAI・秘書子ちゃんは、
「男子を好きになったほうが幸せになれる!」と
あの手この手でおススメしてくる。
放送研究部が文化祭に向けて映画を製作したり、
当日のラジオ公開放送を企画したりする様子は、
全く知らない世界を見られて面白いです。
ちょっと余計なお世話な面もある秘書子ちゃんとの
やりとりは軽妙で、笑えるのですが。
映画製作が順調に進まないことにテンパったり。
自分の恋が「普通」ではないことに思い悩んだり。
話が進むにつれて、だんだん読む手が止められなくなります。
そして、迎えた文化祭当日。
素晴らしい作品でし…続きを読む - ★★★ Excellent!!!爽やかで切ない青春
きっと、高校生の恋愛って、当時は無我夢中で、悩んでみっともなくもがきながら、時々立ち止まって背を背けてみて、でもやっぱり諦めきれなくて足掻くという、全力で不器用なことをするものだと思うんです。今思い返せば、それはすごく甘酸っぱい思い出になるんです。
楪ちゃんの恋愛も、そんな甘酸っぱさのある高校生の恋愛です。
だけど相手が同性なので、異性との恋愛の時よりもどうしても不安や恐怖が多くなってしまう。それがすごく切ないです。
そんな楪ちゃんを支える秘書子ちゃんや、青葉くん。このふたりとの関係性も少しの切なさを伴っていてとても心地よかったです。
フラウズメンバーの掛け合いがお気に入りです。
同性も…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ありのままが詰め込まれた、儚くも尊い青春の物語。
自分にとってとても大切な人がいて、その人は自分以外の誰かが好きで、しかもそのことで自己認識の危機に陥るほど悩んでいたとしたら・・・
自分のことを好きでいてくれるから好きになったんじゃない。
その幸せを願い、自分にできることをしてあげられないのであれば、それは相手を大切に想う気持ちの純粋さへの裏切りではないのか。
自分だけに打ち明け、自分だけを頼ってくれる・・・それに対して精一杯応えることができているというのは誇りであり、矜持であり・・・
実際には、読者に知らされる分の何百倍もの葛藤があったのではないかと想像すると、否応なく胸が締め付けられます。
「現実離れした善人がいる」などとは露ほども思い…続きを読む - ★★ Very Good!!これが、青春
登場人物が、みんないいやつばかり。そう、携帯電話でさえも。
皆が皆かけがえなく、そして文化祭に向けて動く様が輝いていて、決して忘れ得ぬ思い出となるのだろう。
そんな様子が、軽快で気の利いた会話シーンから察せられます。
青春の光に照らされて、少女の多少異質な恋は、影を落とします。
しかし、誰もが認め合い、決して否定することなく、見守り支えながら進むストーリーは、読者の胸を打つことでしょう。
その恋心は、成就すべきか?
少なくとも、その真摯な心は報われるべきだと、私は思います。
完成度が高く、安心してさくさく読み進められました。良作、ありがとうございます。 - ★★★ Excellent!!!涙が私の涙腺を壊して止まりません
人を好きになることって、素晴らしいことなんですよ。
この作品は、そんな当たり前のことを、改めて教えてくれました。
主人公の楪は、どこにでもいるような普通の女の子。
ただし、恋愛対象が同性だということ以外は……。
女の子が好きということに悩む日々。
そんなとき、スマホの秘書アプリに人工知能が入ってしまい、秘書子が誕生します。
秘書子は男の子を好きになった方が幸せだと主張するも、楪の気持ちは変わらず……。
こんな感じで、完成度の高い恋愛小説となっておりますが、それだけではありません。
実はこの作品、本格的な青春ものでもあるのです。
放送研究部としての活動を通して、楪の恋愛のアレコレが書…続きを読む