概要
死神と契約した少年の、不自由な生き方
死神と契約し殺し屋として働いていた依月八尋は、ある日「仕事」の現場を同じクラスの女の子に目撃されてしまう。学校で彼女から持ち掛けられた頼みとは――
「殺して欲しい子がいるの」
思春期の男女が織りなす、ちょっと切ない物語。
「殺して欲しい子がいるの」
思春期の男女が織りなす、ちょっと切ない物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!確かなものは、形のないこのせつなさだけ
死神と殺し屋斡旋業者から二重の依頼を受ける形で、
中学二年生の少年、依月八尋は人を殺す。
死神から特殊能力を借り、殺し屋として仕込まれた技術を使い、
手掛かりの残りにくい「自然な」やり方で、穢れた魂を刈る。
同じクラスの孤立気味の美少女、見谷未希に仕事現場を目撃され、
今度は未希その人に、同級生殺しの相談を持ち掛けられる。
変わったアプローチではあるけれど、美少女との急接近に、
戸惑う八尋、からかう死神、不穏な探りを入れる殺し屋上司。
存在と不在の境界が揺さぶられ、心理学とファンタジーの狭間で、
最も悲しい結末とは何だろうかと思う。
「悲」という強い印象を持つ文字を当てるのも、少し違うか…続きを読む - ★★★ Excellent!!!けがれた社会に人生を翻弄された少年とその無垢な魂に惹かれる少女の物語
深く穢れた大人の黒い欲望が渦巻く社会の中で、物心ついた時にはすでに闇の社会の中にあり、そんな運命のなか生きる道として殺し屋を生業とする少年は、自分が生きていくために自我を殺して、息を潜めて、社会の中の空気のように自分を消して生きていた。目立たないように暮らしていたはずなのに……そんな穢れの中で生きる彼の穢れない無垢な魅力に気が付いた少女は彼に強く惹かれていく。そして、彼の魅力に惹きつけられた少女たちによって彼の運命はやがて大きく動いていく……。
罪深き人たちの報い・制裁、そんな難しい答えのないテーマに、子供たちの身近な社会の小さく純粋な問題と、大人たちの全てを知るには深く大きすぎる巨大な闇…続きを読む