私は如何にして心配するのを止めて
一発逆転シンドローム
「いったい、いつ結婚するの」
「しょうがないよ、適当な人がいないんだから」
本格的な婚活を始める前。平成14年頃、両親とのいつもの会話です。
「趣味を持ってるんだから、同じ趣味の人を探せばいいんじゃないか?」
父はもっともなことを言います。しかし、オタクの世界は奥深いのです。
「そうは言うけどさ…… 例えば、同じ野球が趣味だからってつきあって、阪〇ファンと巨〇ファンだったら、うまくいくと思う? 趣味の世界だとかえってダメだよ」
「だったら……」
今日の母は、一味違いました。
「結婚相談所に行ってみたら?」
その言葉に、母を見る自分の顔が強張るのを感じました。この人はいったい何を言ってるんだろう。今の結婚相談所がどんな所だか、想像もできないのか?
「ねえ、TVの婚活の番組、見たことないの?」
「みんな、がんばってるじゃない」
「そこじゃなくてさ……」
両親も見たはずの、TV報道バラエティ(笑)で流れた、婚活女性たちの本音。
私のようなスペック(クックー!)では同じ土俵にすらあがれない、女性たちの高すぎる要求。
対する男性陣はと言えば、ひたすら若い女性ばかりに群がる、浅ましい姿。
いま婚活の場にいるということは、たぶん結婚するための実力に難があるはずなのに、あきらかに身の丈に合っていない要求をしている。
このときの私は思っていました。
結婚相談所に、婚活の場に来る人は、みんな「一発逆転
今までうまく行かなかった分を、とりかえすため。周囲を見返すため。隠されていた本当の自分を今こそ輝かすため。人生の大逆転を果たすため。偏差値の低い人がありえない奇跡を信じて東大を狙うように。
そんな人たちばかりだと偏見を持っていたのです。
他人から見れば、私自身もそう見えたと思います。
思うに、結婚によって「一発逆転」を果たせるかも知れない、という残酷な期待感は、「恋」というものの性質から生まれたものかも知れません。
※ご注意 私の「恋愛の分析」は「童貞の妄想」レベルの実践的な検証に欠けたものでありますよ!
確かに事実として、恋愛ならば低スペックの人でも高スペックな人をゲットできる場合が実在します。「最後に愛が勝つ」という期待をしてしまうのも判ります。
「恋は盲目」と言いますものね!
※ご注意 この「盲目」という言葉は便宜上使用しているだけで、ポリコレに反する表現ではないという読解能力を、読んでいるかたに期待しています。
しかし、もし「恋愛」のその盲目性を本当に信じているなら、自分自身が、自分よりはるかに低スペックの人と恋愛する可能性も信じないといけないですよね。
自分より、はるかに低収入、低良識、低社会的地位、そして低ルックスな人を、自分が好きになってしまう可能性を。
その場合、その低スペックの人にとって「最後に愛が勝つ」となり、自分にとっても「最後に愛が勝つ(けど自分は負けた)」となるワケです。
ご存知かも知れませんが、宗教画でも明らかなように、西欧の「恋愛の神様」は「盲目」とされている場合があります。
もし、そんな「恋愛の神様」が実在するとしたら。
「高スペックの人と結婚させてください」
という内容で神頼みする人は、きっと大嫌いなんじゃないかと思いますよ~
私自身は、それなりに神頼みするタチですが。
なお、現実の結婚相談所では、「一発逆転
無視されてたのに気付かなかったダケかも知れないけどね!
ええ。もちろん判っています。
このときの私は間違ってました。偏見を持っていました。というか、婚活中はかなり色々と間違い続けてるけど。
ただし、この偏見は私のせいだけではありません。
今にして思えば、たとえTVが取材するような場の中にも、身の丈にあった婚活を地道にしていた人たちもいたのではないか、と思っています。なぜなら、現実の婚活の場がそうだったからです。きっと、目立たない人の言動はカットされていたのでしょう。そんな映像は、あまり面白くはありませんから。
とはいえ、そのような偏見がまかり通れば、私も含めた地味な婚活をし続けた人間にも被害が及ぶでしょう。より良い人生のために婚活をしているというだけで、「高望みしている」とか、「あさましい」とか思われるのは、本当は誰のせいなんでしょう?
そう、一番悪いのは「面白い例」ばかり取りあげて「普通」を映さないTVです。
嫌なら見るな?
……ごもっとも。まったくもって、その通り。
両親との会話は次回も続きます。
(またパパママの話?)
ごめんね。親のことばかりで。
愛してる、ハニー。
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