ショウの専属侍女の1日 前編
朝、日が昇り始めるより早くから私の1日は始まる。
だんだん寒くなってきた年末は、ベットから出るのを少し躊躇う。なんとかベットから抜け出してカーテンを開くと、珍しく雪がパラパラと振っています。そういえば去年雪が降った時は、ショウ様が大はしゃぎしていて、とても可愛らしかったです。
ショウ様専属の侍女として宛がわれた部屋はショウ様の隣の部屋なので立派過ぎて私には勿体ない位のものです。でも、眠るとき以外にはほとんど使わないのであまり気にしません。私は備え付けられていたこれまた上等な洋タンスから何着も持っている侍女服を取り出して着替えます。
着替えてみると、少しきつくなった気がいます。別に私が太ったわけではないです。これは成長期だからです。もう一度いいますが決して太ったわけではないですよ?
身支度が終わったので早速仕事に入りましょう。まずは朝食づくりです。王族は夕食のとき以外は別々にお食事なさるので、それぞれの部屋の近くに調理場があります。
今日の朝食もパンプキンスープにしました。ショウ様は朝に弱く、あまり喉が通らないようなのでスープだけで十分らしいです。だからしっかり栄養が取れるよう具材を沢山、鍋の中に入れちゃいます。食事はショウ様の要望で朝は私と2人で、昼食と夕食はレイス様を含めた3人でいただいていますが、私が今使っている鍋は2人で食べるには大き過ぎるサイズのものです。
理由は、さっき話した具材を多く使用するためなのもありますが、実はもう1人、おそらく今日もあの人が来るだろうからです。
スープが出来上がるまで少し時間がかかるので、この世界の者なら誰でも知っていることをお話ししましょう。
なんと、もともとこの世界には『朝食』というものが存在しなかったそうです。『朝食』というものを作ったのが、かの有名な世界の英雄にして我が王国の賢王だったあの方らしいです。あの方がおっしゃたと言われる「腹が減っては戦は出来ぬ」という言葉はとても有名です。
スープが出来上がったタイミングで誰かが調理室のドアをノックしました。きっとあの人でしょう。
「おう!今日も上手そうだな」
「おはようございます、リーズ様。毎回申していますが、専属の料理人たちがお作りになったものを召し上がってください」
「もちろん食べるさ。でもセレナの料理は別だ別」
「ならまずは料理人たちの料理を召し上がってきてください」
「まぁ、そう堅いこと言うな。ほら、その量は明らかに、最初から俺の分まで作ってくれているんだろ?」
「貴方が召し上がってしまってはショウ様と私の分が無くなるからです!!」
いつも通りの言葉の応酬をしながら私は皿にスープを注いでお渡しする。なんだかんだ言って、結局与えてしまっているのが問題なのでしょうか。味を占められている気がします。
「おっ!今日のも美味そうだ」
「では私はショウ様を起こさないといけないのでこれで」
「うまっ!!うーい。了解、了解」
ショウ様を起こしに行く時間になったので私はリーズ様を置いて調理場を後にしました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます