加減は大事です。(反省?)
「せいやっ!」
「速度が落ちているぞ!もう疲れたのか!!」
「はぁぁ!!」
王宮の訓練場。そこで僕は第二王子のリーズ兄上と剣の練習をしている。
「ほうら、左ががら空きだ」
「ぐっ!?」
リーズ兄上の木刀が左脇を叩かれ、僕は呻き声を漏らす。一応、木刀でも危ないからと言うことでプロテクターをつけられているが、これでも十分、僕じゃなかったら3歳児の体なんて壊れると思う。それにプロテクターは何かの硬質で軽量な皮を使っているとは言え、動けないんじゃないか?
「はぁ、はぁ、はぁ…」
「もう動けないのか?…まぁ、そうか。よし!少し休憩だ、」
ようやく休憩に入ることが出来る。疲れた~精神的に。
前世でプレイしていたゲーム《EO》のデータを引き継いでいる現世の僕の身体能力は剣と魔導のあるこの世界の一般男性よりも異常に高い。ましてや3歳児がそんなものを見せたら、天才の域を超えて化け物だと認識される。それが疲れる。
ならやらなければいいと思うだろうが、如何せん、この世に生まれて3年以上。なにかしら不測の事態が起こるわけで。無意識に体が動いてしまうのだ。
躓いて倒れそうになったから前回り受け身したり、セレナが躓いたのを支えたり、階段を踏み外して後ろに倒れながら後ろ受け身したり、セレナが躓いて階段から落ちてきたのを支えたり、落としてしまったコップをキャッチしたり、セレナが躓いて階段から落ちながら持ってティーセット放り投げてしまったのを彼女を支えたながらティーセットをキャッチしたり、倒れそうになったレイスを支えたり、セレナが躓いて階段から落ちながら持ってティーセット放り投げてしまって何とか倒れないように手を伸ばしたレイスだがレイスも一緒に倒れてきたので彼女支えたながらティーセットをキャッチしてレイスも支えてあげたり、いろいろあったのだ。
なので身体能力が少し高いのは知り合いの中では周知の事実である。
だからリーズ兄上の誘いを断れなかったのだ。
でもこれが、わざと相手の攻撃を喰らったり、息を乱したりしなくてはいけないから疲れるのである。
「なんだ、全然汗をかいていないじゃないか」
「はははは、どうやらかきにくい"たいしつ"みたいです」
「でも魔導の練習の時はかなり汗をかきまくって、その後すぐに湯浴みしていると聞いたぞ」
「あー…どうしてなんでしょうね」
「俺は医術師じゃねぇからな。心配だったら診せたらどうだ?どうせ格闘と魔導は使う力が違うからとかだと思うけどな」
うん、正解。
魔導は《EO》の世界には無くてこの世界で手に入れたものだから量はまだ常識的だ。
魔素を認識できるようになった日の夜に気づいたのだが、ステータスにHP・MPのしたに『DP:590/600』とあった。魔素の量を表しているみたいだが何の略なのかは解らない。ダイ〇モンド・パー〇なら知っているんだがな。
「いえ、おそらくそのようなところだとぼくもおもいます」
「それに、お前はその『髪』だものな」
「ええ…」
「なに、心配するな。誰にも得手不得手はあるものさ」
リーズ兄上は僕の頭を撫でながらそう言ってくれる。彼らしい少し乱暴な撫で方だが、嬉しいものである。
「……」
その様子を少し離れて無言で見守るレイスとセレナ。彼らは僕のこの前限界まで魔素を注ぎ込むのを見守っていたので、僕の魔素の量の多さを知っている。結果は300/600まで注ぎ込んだところで僕の集中力の限界が先に来たので、そこで中断したがだいたい一般人の1.5倍らしい。ということは今の僕の魔素の量は3倍。ほら、『まだ』常識的だ。
しかしこの結果は秘密にするように2人には頼んだ。有能だと料理人への道がさらに遠ざかるからな。…既に手遅れな気がしないわけではないが。見た目より多少持っていることは既にリリ王妃とサラ姉上にばれているし。
「それじゃあ、もう一運動するか」
「はい!」
そして、また加減の練習を再開した。
ちなみにリーズ兄上の実力は本気を見たことないから正確じゃないけど、
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