暇なので…(することが無いとは言っていない)

 「ショウ~、打ち合いしようぜ~」


 第二王子のリーズ兄上がまた何の前触れも、ドアのノックも無く部屋に入ってくる。


 そんな中島みたいなことを言われても。ちなみに剣の打ち合いな。


 「りーずあにうえ、ようこそ」

 「おう。剣の打ち合いに誘いに来たんだが…何してんだ?」


 実は現在、僕の部屋には第一王子のルーデン兄上が来ていて、僕と兄上はテーブルを挟んで向き合って、白と黒の宇宙戦争を繰り広げている。


 「これはね、れいすにたのんでつくってもらったんだよ!」

 「はい、これはショウ様がお考えになられたもので『リバーシ』というゲームです」


 考えてないけどね。


 あまりに娯楽が少ないというか無いと言ってもいいこの世界は、充実してないと言ったら嘘になるけど、息が詰まる。最初は皆でプレイできる『すごろくで第2の人生を遊ぼうゲーム』を造ろうと思ったが、既に第2の人生だし最高位である王族なので、やめることにした。


 こちらの世界でもかなり昔から磁石が発見されていたらしいが、今まで使い道がなかったらしく放置されているらしい。いいのかそれで。確か磁石で電気を作れなかったか?


 磁石の有用性を知らない訳ではなかったが、そこから科学が発展して軍事利用されると思うと怖いので必要だと思ったときにしか向こうの技術を明かすつもりはない。…料理については別だがな。


 と、そんな訳で作られたのがこのリバーシである。本物より若干重めである。


 「ぼくのかち!」

 「あぁ~また負けてしまった。強いねショウは。リーズもやってみないかい?」

 「おう?うーん…」

 「そうだね、りーずあにうえ!いっしょにやろう?」

 「…まぁ、いっか」

 「やったぁー!!」


 祝!運動回避!!


 剣の打ち合いが嫌なわけではないが、疲れるし面倒くさい。たとえるなら高校時代まであった体育みたいなものだ。(ただのインドアな彼の感想です)


 「えっとね、ルールは…」


 なんとか打ち合いを回避した僕はリーズ兄上にリバーシの説明をする。その後、実際にやってみたが僕は全勝した。ゲームは元から得意だからね。


 ちなみに、ルーデン兄上とリーズ兄上がやったときは意外なことにリーズ兄上が勝利した。リーズ兄上は体を動かすのが大好きだから脳筋キャラのイメージが強いけどなぁ。


 次の日から爆発的にリバーシが上流階級で流行って、磁石の加工が大量に行われてしまったのは仕方のないことだと思うことにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る