暑いよね

「はい。氷の魔素を持つ魔物から得られる魔石に特殊な魔導式を施したもので、水の魔素を注入することで冷気を出して、食べ物を保存します」

 「そんなのがあるんだ…」

 「魔導式が膨大かつ複雑なため施せるほどの魔石は限られてきますので、持っている者は限られています」

 「へぇ~。でもれいぞうこがあるんだったら、こおりもめずらしくないんじゃないの?」

 「いえ、冷蔵庫に凍らせるだけの力はありません」

 「そっか~。ざんねん。こおりって、おいしそうだよね」

 「昔は食べられていたそうですが、それで問題があったそうで現在は密かに食べないように言われているんですよ」

 「もんだい?」

 「国家間の問題になったとだけ言っておきます」

 「ふ~ん」


 それは毒を盛られたのかな?でもそれだと貰ったものは食べることが出来なくなるか。


 「では、氷をお持ちしますね」


 セレナが氷を取りにどこかへ行ってしまった。


 珍しく寝る前から部屋で1人になる機会がきた。……いや、もう1人いたか。


 今はどこにいるのかを知るために簡易マップを開く。気配でも昔は分かったが、気にしないようにしていたら自信が無くなってきた。


 円状のマップには自身の周りに2つのそれぞれ色の違うマーカーがある。ん?2つ?


 棚の裏の部分にもマーカーがついている。近づいてみると、結構速い速度で離れようとする。あ、追いかけたら窓から逃げていってしまった。


 ここから地面まで4mはあると思うんだけど大丈夫かな、あのネズミ。


 「どうかしましたか、ショウ様」


 ネズミを追いかけていたら、セレナが帰ってきたようだ。


 「うん、ちょっとねずみをみつけたの」

 「えっ、ねずみですか!?」

 「そだよ~っておおう!?」


 セレナは自身の大きさの氷を台車に載せて持ってきた。


 「おおきいねぇ」

 「ええ、あと7個ほどありますよ」

 「けっこうあるね」

 「そうですね。それで、そのねずみはどうされたのですか?」

 「ああ、そこからそとにいっちゃったんだ」

 「窓からですか?」

 「うん」

 「そうですか…。それにしてもどこからねずみが入ったのでしょうか?」

 「そういえば、はじめてみたなぁ」


 あのネズミはどこから来たんだろうね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る