本、読もうかな
読書。それは選ばれた生物のみに許される至高の営み。
「ショウ様、先日言われていたものをご用意しました」
「うん、ありがとう」
ボクの前に置かれたのはボクの身長ほどの高さまで本が積みあがっている。全てレイスに用意してもらったものだ。
「さて、どれからよもうかな」
「本当にこのようなものでよろしかったのですか?」
「うん、なにげないほんをよむこともだいじだよ」
「それは…そうですが…」
レイスは渋っているが一体どんな本を用意させたかというと
『君と野菜とトマト』
『市場で買った魚の観察日記』
『君に選ばれたのは、お金でした』
『その男、詐欺師 3 ~宮廷魔導師編~』
『朝目覚めたら俺ん家のトイレが女の子になった件』
『平民の私が王女に!?』
『義賊サンタクロース』
『家臣達:私の人生、主様のもの』
『辺境貴族:僕より有能な家臣たちが崇拝してくるのですが、どうすればいいですか?』
…うん、本の題名をいくつかあげたら分かるかなと思ったが、無理だな。
色々あるがとりあえず、1つだけツッコむと「市場で買った魚は死んでいるので腐るだけだよ!」だ。
僕がレイスにどんな本を用意するように言ったかというと「町の人たちに人気のある物語本を持ってきて」だ。
ボクは前世のころからせ本を読むのが好きだった。教科書に載るような格式ばった本からWeb小説まで幅広く読んでいる。しかしライトノベルでメディアミックスしているものまで手を出しているかと言われれば、そうなるのは特別気に入ったものだけで、「広く浅く」と言う言葉がお似合いかもしれない。
大学に入って1人暮らしを始めてからはオンラインゲームにハマって、少しずつ本からも離れていたが、この機会にもう一度、読んでみようと思ったのだ。
しかし王宮の書庫にそのようなものは無いし、まだ僕は人前に出られないので直接選んで買う訳にもいかない。
そこで王宮外に寝床をもつが物語本など読まなそうなレイスに人気のある本を頼んだのだ…が、それで持ってきたのがこれとなると…
「だいじょうぶかな…まちのひとたち…」
頭が。特に『トイレ』の本買う人。その擬人化はアウトだろ!!
さてどれから読むか。
『トイレ』をレイスやセレナに見守られながら読むのはきつすぎるし、あと『平民→王女』も「事実を基に書いた」と書かれているが、その人物を特定出来るので気軽に読めない。
というか、なんで全部ライトノベルっぽい題名の本が多い。この世界の住人はそういうのが主流なのか?
どれにするか、悩みに悩んだ結果。
「よし、これにしよう!」
『貴方が手にしたパン』
…まさかの推理ものでした。いや、サスペンスものか?まさか犯人が読者だったとはなぁ。
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