その41 『魔女ッ娘☆らいかちゃん』(全134話)

*        *        *


 スポーツ万能、人一倍正義感が強いが、勉強嫌いが玉にキズの女の子、美空らいか。

 彼女は、ごくごく一般的な女子中学生だ。


 そんな彼女は、ある日、時空の向こう側からやってきたという超存在、“造物主”サマと出会う。

 ”造物主”サマによると、現在、このセカイには危機が迫っているという。

 日本古来より存在する邪悪な生命体、――“アヤカシ”。

 その”アヤカシ”たちが昨今、人々の日常を侵食しつつあるらしい。


 “造物主”サマにより不思議な力を与えられたらいかは、“魔女ッ娘☆らいか”へと変身。

 “アヤカシ”との戦いに身を投じることになる。

【第一期 4クール47話】



 激しい戦いの末、“アヤカシ”の最高幹部、“ネコマタ”の退治に成功する美空らいか。


 新学期にもなり、戦いも一区切り。

 ようやく趣味のゴルフに没頭できると思っていたらいかだったが、そのころ、時空の狭間では、消滅したはずの“ネコマタ”の魂が四十八個に分裂し、またも人々の心に邪悪な影を落とすようになっていた。


 これに対抗すべく、“造物主”サマより新たな力、“心の鍵”を授かるらいか。

 全ては、“ネコマタ”に穢された、人々の魂を浄化するため。

 “魔女ッ娘☆らいか”は今日も空を駆ける。

【第二期 4クール49話】



 “心の鍵”の力で、“ネコマタ”の魂を完全に封印した美空らいか。

 だが、その代償はあまりにも大きかった。


 大好きだったお父さんとお母さん。ゴルフ仲間の親友。

 そして”魔女ッ娘”としての力。

 すべてを犠牲にしてまで手に入れた平和は、彼女にとってどこか空虚なものだった。


 そんな中、――第三次世界大戦が勃発。


 人類は“ネコマタ”に穢されずとも、自らの手によって終焉の道を歩んでいく。

 もはや何の力も残されていないらいかは、世の中の時勢をただ見守っていることしかできなかった。


 そして、ある日のこと。

 クラスメイトにして、憧れの存在でも在った竹中イサオくんが、反政府ゲリラの手により殺害されてしまう。


 らいかは犯人捜しのため、もう一度“魔女ッ娘☆らいか”としての力を求める。

 だが、すでに大人になりつつあるらいかの身体に、”魔女ッ娘”の力が再び宿ることはない。


 今のらいかが特別な力を得るためには、新たなステージ、――”魔女”として覚醒しなければならなかった。

 しかし、”魔女”の力を得るのは、禁忌とされている。

 魔法の力は、純粋な子供の精神にのみ適合するものだからだ。


 それでも、復讐に取り憑かれたらいかは、かまわず”魔女”へと変貌してしまう。

【第三期 2クール24話】



 美空らいかが”魔女”と化した結果、全ての人類が消滅してしまった世界。


 何が正しくて、何が間違っていたのか。

 もはや何一つわからないまま、“魔女”らいかは数百年の時を生き、ただただ、世界を放浪する。


 そこで出会ったのは、かつての宿敵、“ネコマタ”と呼ばれた“アヤカシ”であった。

 お互い、もはや戦う理由はない。

 空っぽの世界で、二人は過去を追想する。

 不思議なもので、あれだけ憎んでいた”ネコマタ”を、今では無二の親友だと思うようになっていた。


 そんなとき。

 突如として“造物主”サマが、らいかの前に現れる。


――このセカイは、失敗作だったな。


 “造物主”サマは、吐き捨てるような口調で言った。

 全ては、一時の感情で人類を全滅させた“魔女”、……美空らいかの責任である。

 らいかは、”造物主”サマと、自分の力で守れなかったすべてのものに許しを請うのだった。


――やれやれ。まあ、たった一人の人間に負わせる重責ではなかったか。


 “造物主”サマはそこで、最後の慈悲にと、ある条件を持ち出す。


――これから君を、こことは違う世界に連れて行こう。そこで“試練”を受けなさい。


 そうすることで、らいかはこれまで手に入れられなかった種類の力を得られるだろう。


 何かを壊す力ではない。

 何かを生み出す力。

 “造物主”の力を。


 それこそが、この荒廃したセカイを救う、唯一の手段なのだ。

 美空らいかはうなずき、新世界への旅立ちを決意する。


 全ては、――遠い記憶の中。

 顔さえも忘れてしまった人々のために。

【第四期 1クール13話】



 らいかを見送った“ネコマタ”は、独りほくそ笑む。


 長きにわたる戦いを繰り広げてきた宿敵、美空らいか。

 どうやら彼女は、新たな人生を歩むことを許されたらしい。


 だが。

 らいかが愛する者を失ってきたのと同様に。

 彼女もまた、人知れず、自分の敵とされるものたちを容赦なく葬ってきた。


――彼女の腹の内に潜む邪悪は、果たして“はじまりの世界”とやらをだろうか?


 物語の結末は、彼女の心の深淵に残してきた分身が、人知れず教えてくれるだろう。


 “ネコマタ”は、これまでと同様に、終わったセカイにて甘栗を焼き続ける。


 このセカイにおける、たった一人の友達の帰りを待ちながら。

【DVD特典ムービー】


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