イキシアノ戦物語 黒狼卿と天眼の軍師2 著:鳳乃一真

ファミ通文庫

これまでのあらすじ

 幾つもの国々が混在するイキシアノ大陸において、対立する二つの国がある。


 アリオン皇国とローベルト帝国


 長年、敵対関係にある両国は、事ある毎に戦を繰り返していた。

 しかし両国の間には、大陸を縦に伸びる霊峰レイベ山脈があり、その存在が二つの国の戦を泥沼化するのをなんとか防いでいた。


 これまで両国の最前線となる場所は二つあった。

 レイベ山脈を大きく迂回した先にある、北の大平原と南の大海道。

 そこでは今も両国の軍が睨み合いを続けている。


 そんな中、現在、両国の注目が集まるのが、中央のマルデュルク山道だ。

 レイベ山脈を横に突っ切る形で、相手国へ最短で進軍できるルートであるが、幾つかの理由によって、細く険しい山道は、これまで見向きもされてこなかった。


 だが半年前、突如として皇国軍が自国の山道口から進軍。そのままローベルト帝国側の山道口まで制圧した皇国軍は、その場所に砦を築き上げた。

 それが皇国軍の守りを固める《マルデュルク砦》だ。

 これにより、現在マルデュルク山道は、アリオン皇国が手中に収めている。


 もちろん、ローベルト帝国も黙ってはいない。

 山道口を塞ぐ砦を囲むように三つの拠点を築き上げ、マルデュルク砦を陥落させるべく幾度となく兵士を送り出している。

 しかし、その目論見は未だに達成されていない。

 様々な理由はあれど、一番の要因は、マルデュルク砦を護る、皇国の英雄の存在がある。


 黒狼卿こくろうきょうヴィンセント。


 この半年の間に、帝国は幾度となくマルデュルク砦に侵攻するも、黒狼卿の前にただの一度として勝つことができないでいた。

 そんな中、ついにローベルト帝国が本腰を入れる。

 マルデュルク砦を攻略するために、帝国軍の要の一人である、帝国四軍師をこの戦場に投入したのだ。


 天眼てんがんの軍師フォウ。


 常勝無敗を誇る、鉄仮面の軍師である。

 圧倒的な武力を駆使し、マルデュルク砦を守護する黒狼卿と天眼と称される叡智を駆使し、砦を奪いとらんと策を弄する天眼の軍師。

 戦場において対立する二人の英雄の戦いは熾烈を極める。




 これは、武と知が戦場でぶつかり合う戦物語。


 だがこの物語には、もう一つの側面がある。

 それは、黒狼卿と呼ばれ戦う青年と鉄仮面を被り戦う少女の恋物語であることだ。


 敵国の要人である互いのことを愛してしまった二人が、愛した者をこの手で掴み取り、己のモノへとするために奔走する、恋の戦物語でもあるのだ。

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