第38話 思想連想ゲーム
「...なわけで」
五時間目の化学は言うまでも無く退屈だ。
しかも月曜っていうデバフもかかってものすごく眠たい。
何回も頭の中でテロリストが入ってくるシュミレーションをしては、どう助かるかを考えて大体同じタイミングで飽きる。
前に仲田と二釈に聞いたらおんなじこと考えていたし、しかもみんな誰から聞いたでもなくオリジナルで思いついた暇つぶしらしいし。
こんなに思想がかぶることがあるのかと驚いたと同時に、うわさでは聞いていたが男って本当に単純なんだな。
「...ここテストに出るかも?」
眠たい目をパチパチさせながらノートをとる。
嫌いな食べ物とかでも食べられれば目を覚ませそうだが......
そういえば昨日チャーシュー麺頼んだら間違って野菜タンメン出てきたな。
チャーシュー麺より200円安かったし、味は美味しかったけどなんかめっちゃ損した気分だったんだよな。
てかチャーシューってだけで200円も高くなるのか......。
野菜が安いって考えるべきか?
にしてもチャーシュー麺で1600円は高いよ。
...って、俺野菜タンメンに1400円も払ったの?
え、そんな食べたくなかった野菜タンメンに1400円も......。
って話をさっき二釈と仲田にしたら
"俺もゲーム買ったら間違えて
"俺も犬撫でてたと思ったらヤギだったんだよなー。"
って言ってたけど、それと俺の話って別だよな。
だってそれは全部自分で選んで間違えたって話だもんな。
...え、仲田、犬とヤギを間違えて撫でてたって言ってた?
あの時は自分の話をしようと必死になって
"そっかー。"
って言っちゃったけど、犬とヤギ間違えてんのヤバいじゃん。
てかヤギ撫でるタイミングってなんだよ。
動物園以外ある?
でも動物園に犬いるイメージあんまないし、さらに言えばヤギと犬が同時に存在するタイミングなんて...アイツどこでなにしてどう間違えてんの?
だいたい自分の姿勢で分かるだろ。
ヤギは中腰だろうし犬は完全にしゃがむだろうし。
...てか普通に見りゃわかるだろ。
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「...なわけで」
あー、ダメだ全然集中出来ねえ。
さっきクラス長と二釈に、ヤギと犬触り間違えたっていうボケをしたのにめっちゃ流された。
結構わかりやすいボケのつもりだったのに。
まあ確かに突拍子こそなかったし変だったかもしれないけどさ。
マジで何でもかんでも返してくれる二人だからこそ、このスルーはキツいなー。
スルーっていうか
"そっかー。"
"あぁ......。"
だったもんな。
もう完全に俺が犬とヤギ勘違いして触る人間だと思われてんだろ。
いつもなら拾ってくれるのに完全に無視だったもんな。
...もしかして俺、本当にそういう間違いする人間だと思われてる?
本当に犬とヤギを触り間違えるタイプの人間だと思われてる?
てか、犬とヤギが同時に存在する場所ってどこだよ!!!
「...ここテストに出るかも?」
あんのかそんな場所!
ボケに自身の存在が食われて行ってる...。
こんなことあって良いわけない。
今後なにボケても流されたら本当に俺が俺じゃなくなる。
だいぶん他人任せというかひとりよがりなふざけ方したな。
もうちょっとなんか考えて喋ろう...。
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「...なわけで」
仲田、犬とヤギが同時に存在する島、イギヤヌ島に行ったのか......?
幻といわれているその島。
まあ、確かにここから飛行機で一時間半くらいだし小旅行にはもってこいの場所だがまさか仲田が知ってるとは思わなかったな.......。
知ってる驚きと羨ましさが同時に出て
"あぁ......。"
とか言っちゃったけど.....。
ん?ちょっと待て、そう言えばクラス長もそんなに驚いてなかったな......。
「...ここテストに出るかも?」
普通知らなかったら
"なんだそれ!どこだよそこ!"
とかツッコむはず。
でも
"そっかー。"
だったってことはクラス長も仲田もイギヤヌ島を知ってるんだ......!
てっきり知らないもんだと思っていた......。
まあ知ってようが知らなかろうがそんなに接し方変わるもんじゃないけど、自分だけ知ってるような知識を持ってるとなんか....うれしいな......!
授業が終わったらイギヤヌ島の話を仕掛けてみよう......。
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「...なわけでここ、柴北わかるか?」
「え、あーオゾンの化学式...ですか?」
「はい、正解。」
さっきたまたまクラス長達の会話が聞こえちゃったけど......
野菜タンメンとチャーシュー麺間違って持って行ったの私の友達だ...!
クラス長が前私のバイト先に来て、別に普段通り接すればいいのになんかわかんなかくてキッチンに隠れちゃったんだよなー......!
そして先に休憩貰って、私がまかないで食べる予定だった野菜タンメンを間違えて出しちゃって......。
てか夏休みにもバイト来たことあるし、文化祭の準備も一緒に楽しんだ仲。
そんな気にするような事じゃないのに....
あれ...なんだろうこの気持ち。
もしかして、私.....
「ここテストに出るかも?」
...まだクラス長に遠慮してる!?
確かに仲良く話すけどやっぱりクラス長っていう役職もあるし、あの目を細めて真面目に授業を受けている感じ見ると、やっぱり同じ地元だってだけでラフに接しすぎてるのかな私...。
とりあえず野菜タンメン持ってっちゃったのは謝ろう。
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授業後、ハチャメチャな勘違いが起こった俺らだった。
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