第20話 おつリッチ
ジャンケンに負け二人のジュースを買いに行った仲田は、三階分の階段を使ったのにも関わらず一分もしない速さでクラスに戻ってきた。
「はい、これが二釈でこれクラス長」
「ありが...ってなんでゼリーなんだよ!」
微糖の缶コーヒーををチマチマ飲む二釈、ムカつきながらゼリーを振って腱鞘炎になりそうな手をグッパグッパするクラス長。
「いくらだった?」
「二人とも百円でいいよ。」
ポケットから百円を取り出しスッと渡す二釈
財布を開いてモタモタ小銭を漁るクラス長はやっちまったと頭を叩くと、お札を取り出して仲田に渡す。
「...千円札しかないんだけど、九百円ある?」
「んー、別に千円でもいいよ。」
「千円でいいわけないだろ。」
仲田はしょうがないなと呟きながら千円を貰い九百円を返すと、少し微笑みながら財布にお札をしまった。
「どうしたんだよ仲田。」
「なんかさ、千円札を貰うと得した気分になるよな。」
「なに、プラマイゼロだろ?」
仲田は分かってねえなぁといいながら財布をしまいため息を吐く。
「百円玉十枚もらうのと、千円札一枚もらうのどっちがいい?」
「...まあ、そう言われたら千円一枚かなぁ。」
「じゃあ百円玉が五十枚と五千円札一枚は?」
「...五千円札一枚。」
「百円玉百枚と万札だっ」
「もういいわ!!てか万札と百円玉が百枚の方がちょっといいだろ!」
クラス長は財布をポケットにしまいゼリージュースを一気に飲み干す。
「...喉全然潤わねえよ。」
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