第38話 花菜ちゃんの日記 2

 うしろの方のページの、フリースペースみたいなところに、ポエムのようなものが書かれていた。


『いつもここで キミを見てる

キミが見てる風景をキャンパスに描きたい

美しい景色

キミは そんな風景も

それを描く私にも目もくれず

ただ ひたむきに 駆け抜けて行く

それでいい

わたしはいつも ここでキミを見てるから』



『彼のことが 好きで好きで好きで

いつも見てる

でも それは 知られてはいけないことだから

全然 気にしてないフリをする

彼のことを 

あの子が好きだって知ってしまったから

私も……なんて 言えなかった……

協力してねって言われたから

イヤとは言えなかった

大好きなのに

大好きだけど……』



『あの人を好きだってことは秘密

自分の胸の奥にしまってある想い

たぶん この想いを伝えることはないのだろう

女の子はみんな 恋に恋してる

誰か好きな人がいないと変だって言われる

だから 私は

架空の想い人をつくった

違う学校の先輩

背が高くて

スポーツマンで

頭が良くて

髪がちょっと茶色くて

カッコイイ先輩

そんな人はいないけど……

卒業して別々の学校に行ったら

あの人を忘れることができるのだろうか

あきらめることができるのだろうか

あの子と別々の学校に行ったら

もう遠慮しないで

あの人を好きだって言えるようになるのだろうか

それまで あの人は

待っていてくれるだろうか』



『自分の気持ちにウソをついて生きるのは

ツライ

全部ぶちまけたら

気持ちは軽くなるのだろうか

全部 全部 全部 全部

得るものはあるだろうか……

失うものの方が きっと大きい

今日も1日

精いっぱい

自分の気持ちにウソをついて過ごした

精いっぱい

そうまでして私が守りたいものって

何なんだろう?

自分の気持ちにウソをついて生きるのは

ツライ

でも私は

明日もまた同じように笑うのだろう

精いっぱいに』



『桜の並木道を走るキミをいつも見ていた

花吹雪の中

真夏の炎天下の中

真っ赤な落ち葉が散る 木枯らしの中

雪の降る中

懸命に走るキミを

私はいつも応援してた

心の中で

ガンバレ!!

声に出しても きっと

私の声は届かないから

心の中で

ガンバレ!!

キミの隣りを一緒に走ることはできないけれど

いつもキミを応援してる

いつまでもキミを応援してる』



『恋か友情か

どちらの方が大切かって考えてみた

大好きな人に大好きだって伝えたい

でもそれは

大切な人を傷つけることになるから

言えない……

私の大好きな人と

私の大切な人が

幸せになってくれるのことが

私の願い

だから 今は 一歩引いて

自分の心の声に耳をふさぐ 』





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