第24話 陸上部の酒井くん
前に、お正月にきた時に話を聞いた、美術部の河合さんが私達に声をかけてくれた。
「陸上部に好きな人いたのかな?って、この間 聞かれたでしょ。
それで思い出したんだけど、花菜ちゃん同じクラスの仲良い子で芳村祐ちゃんって子がいて」
「あぁ、芳村さんわかるよ!
話をさせてもらったから」
「そうなんだ?
その芳村さんが、陸上部の酒井俊平くんを好きで、結構しつこく追っかけしてて。
花菜ちゃんと、砂川さん、その応援してたってゆうか、協力させられてたってゆうか。
私は、クラスも違ったし、芳村さんは ちょっとニガテなタイプだったから、大変だね~って、
花菜ちゃんによく言ってたのを思い出して。
花菜ちゃんが好きだった人の話じゃないんだけど」
と、言って髪を耳にかけた。
「それで、芳村さんと酒井くんは、付き合ったの?」
「ううん、酒井くん断ったって聞いたな。
そういえば、酒井くんて今も陸上やってんのかなぁ。
高校は県外の陸上の強豪校へ行っちゃったから、地元から離れちゃったんだよ。
箱根駅伝にも出たくらいで、地元じゃ有名人で
だいぶ盛り上がってたけど。
あっ、全然 役にたたない話でごめんね」
「ううん、河合さん ありがとう」
河合さんのうしろ姿を見送った。
「茜ちゃん、どう思う?」
美鈴さんが小さな声で言った。
「えっ?どう思うって?」
美鈴さんに聞かれて、慌てて振り向いた。
「陸上部がすごく重要な気がするんだよね」
「でも、中学も高校も、陸上部の男子とは接点がないみたいだけど」
「前に、茜ちゃんが会った高校の友達、花菜は他校の陸上部の人を好きだったんじゃないかって思ってたって言ってたよね?」
「あっ、うん。言ってた」
それから、美鈴さんは目を閉じ、だいぶ長い間考えているようだった。
「想像してみて!
接点なんて、そもそも ないんだよ!
片思いで、話もできない。
好きだけど、好きって言えなかった。
それが心残りだった」
忘れられない人がいるの。
気持ち伝えたかった……
花菜ちゃんの最期の言葉
美鈴さんが言うように、片思いだったのかな。
「じゃ~、さっきの酒井俊平くん調べてみる?
陸上部のスター的な人みたいだし」
「そうだね。医者の息子もみつからないし、初めて出てきた名前だからね。
そこから、調べてみるしかないかもね。
中学の陸上部の◯◯って、酒井さんの口から 他の名前が出てくるかもしれないしね」
出身中学と年齢と、箱根駅伝に出てるってゆうヒントだけで、こんなにも簡単にみつけられるんだ!ってくらいあっさりとヒットした。
酒井俊平くんは、今現在、母校の神奈川の大学で陸上部のトレーナーをしていることがわかった。
「会いに行く?」
「うん、どこまで話せばいいかな?」
「それは、会ってみた感じじゃない?」
「そうだね」
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