第15話 心臓の手術

 夜になって、今日の話を美鈴さんに電話した。


「マジで~?そんな病弱ちゃんだったんだ~?

ウケる!

でも、高校の頃の花菜は、私が知ってる大学の頃の花菜と同じような感じだなぁ。

まぁ、高校卒業して大学入ってんだから、当たり前だけどさ。

元陸上部だからって、ハーフマラソン大会とかよく出てたし、山育ちだからって、スキーもスノボも出来たよ。

大学の時も、男の子とワイワイって感じではなかったけど、でも男嫌いって感じでもなかったかな~。

だけど初恋の人らしき人物の名前が出てこないね?

他校の先輩で医者の息子と、他校の陸上部の人?」


「そうなんだよ~。もうちょっと調べてみるね。明日、花菜ちゃんの中学へ行ってみようかと思ってるよ」


「うん!よろしく!

あっ、花菜のお墓も行く?

花菜によろしく伝えといて!」


「了解!」


 

 次の朝、花菜ちゃんのお父さんとお母さんと3人で朝ごはんを食べた。

食べながらでなんだけど、花菜ちゃんの病気のことを聞いてみた。


「あれっ!茜ちゃん知らなかったっけ?

心臓の手術をしたのよ。小学校4年の時に」


「えっ!心臓ですか?」


「そう!小さい時から調子悪くてね~。

右心室から左心室とかに流れるじゃない?あれ?逆かしら?右心房から?

まぁ、それがうまくいかなくてね。

弁が悪かったんだけど、その手術をしてね。

5年間は運動禁止って言われて、あの子 元々は活発な子だったから、かわいそうだったわ。

手術は成功だったから、普通に生活する分には全く支障なかったんだけどね。

体育も運動会もずーっと見学だったの。

それなのに、ね~~お父さん!びっくりしたわよね!

高校で陸上部だってゆうんだもの!

マネージャーだって言ってたのよ。

マネージャーもこんなに靴下汚れるんだ~、なんて思ってたら、走ってたなんて!!

もう!!腰抜けそうになったわよ!

反対したけど、聞かなかったのよ、あの子。

なんだか、走らなければならない!みたいな強い意志があって、私達が折れたんだけど。

でも、やらせてあげて良かったって思うわ~。

打ち込めるものを、自分で見つけられたんだから。

身体も強くなって、本当に普通の人と同じ生活ができるようになったのよ」


お母さんは、そこまで一気に話すと、お茶を飲んだ。


「そうだったんですか。

遊びにきた時に、花菜ちゃんに絵を見せてもらって、美術部だったってのは聞いてたんですけど、運動禁止だったからってことだったんですね」


「うん、そう!

でもね、これ言うと、親バカっぽいけど、絵も上手だったのよ!」


「あ、はい!すごい うまいって思いました。

あの絵をまた見たいんですが、いいですか?」


「どうぞ!花菜の部屋、手付かずで そのままなの。

押入れにあるから、出して見てちょうだい」



2階の一番東の部屋

朝日が眩しいんだよ!この部屋!って、花菜ちゃん言ってたな。


……本当にそのままだ……


お母さん明るくしてるけど、ここを片付けることはできないんだな……

押し入れを開けて出してみると、たくさんの絵があった。

ピカソっぽい抽象画の野菜の絵とかもたくさんあったけど、一番多いのは風景画。

四季折々の桜の並木道。

花菜ちゃんは、いつも外で日焼けして描いてたって言ってたよね。

じゃ、この場所は学校の近くかな。

花菜ちゃんの絵を、携帯で撮って、中学校へ行くことにした。


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