第14話 高校の友だち
その日の夕方、今度は高校時代の親友と会うことができた。
根本詩織さん
物静かな感じの人だった。
「高校時代の花菜ちゃんは、勉強もできたし、部活もすごい頑張っていたよ」
高校時代の部活か、そう言えば 知らないな。
美術部かな。
「何部だったの?」
「陸上部。私もだけど」
「えっ!
だって、小学生の時に大手術して、中学では体育もずっと見学でやれなかったってゆうのに!!
陸上部?」
「そうなんだってね。
親にも内緒で始めちゃたみたいで、秋の競技会にエントリーされてるの知って、親ビックリしてたって、花菜ちゃん笑ってたよ。
陸上部のマネージャーだって嘘ついてたんだって」
アイスティーの氷をストローで動かしながら、薄っすらと笑った。
「で、走れたの?」
「ふふふっ!
入ったばかりの時は、グランド一周で倒れ込んじゃって。
こんなひどい新人いないって言われてたんだよ。
そりゃーそうだよね、5、6年も走ったことなかったんだからね。
でも、どんどん走れるようになって、秋には競技会出たんだもん。
すごいよ~!」
「陸上って、よくわかんないんだけど、短距離走とかマラソンみたいな長距離走とかいろいろあるんだよね?
種目ってゆうの?」
「うん、花菜ちゃんは5000メートル。
5000メートルってキツい種目でさ、もう最初から全力疾走くらいのスピードで5キロだからね。
フィールドを12周半。
あれは、メンタルやられるもん。
私はムリだったな。
花菜ちゃんは、すごい頑張り屋さんだった」
そう言うと、手に持っていたハンカチで涙を拭った。
“花菜ちゃんは、すごい頑張り屋さんだった”
そうだよね!すごいわかるよ。
「花菜ちゃん、好きな人いたのかな?」
「いたんだと思うけど、教えてくれなかったな~。
いつも、私の相談にのってくれる感じだった。
でも、……ずっと思ってたけど、好きな人は、
陸上やってた人だったと思うんだよね」
「えっ?なんで?」
「うーん……なんで?って言われると……ただなんとなく、そう思ってただけだったけど……
好きな人がやってることを自分もやって、少しでも近づきたいってゆうのか……
うーん、近づきたいとは違うかな……
理解したいってゆうのか、なんか そんな風に感じたなぁ。
走り終わって、芝生に寝転がって、
“なるほど~、空がキレイ、楽しいな やっぱ ”
って笑って。
誰かのことを思い出してるみたいだった」
「先輩とか?」
「ううん、同じ高校の人じゃないと思う。
なんとなくだけど、他校の人じゃないかな~」
他校の陸上部……
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