第13話 中学のクラスメイト

 中学のクラスメイトで仲の良かった2人に会う約束が出来た。


「かなっちゃんが死んじゃったなんて、未だに実感わかない……」

そう言って俯いたのは、砂川奈津江さん


「私だってそうだけど、いつまでもメソメソしてると、きっと かな怒るよ!

ねっ?」

と、私に話を振ってきたのは、芳村祐さん


「そうだよ!私もつらかったけど、花菜ちゃんの最期を看取って、望みを託されたから。叶えたいんだ」

と、私は言った。


「で? かなの最期の言葉って、何だったの?」


「ごめんなさい、それは言えないんだけど。

いろいろ教えてほしいんだ」


ふ~ん、と芳村さんは怪訝な顔をした。


それでも、2人はいろんなことを教えてくれた。


小学校の時に、大きな病気で大手術をして、中学の時も体育はずっと見学だった。

花菜ちゃん本人は、すごくやりたくてやりたくてって感じだったけど、ドクターストップだったのだと。


部活動は、美術部だった。

美術部の人たちは、だいたい教室の中で描いているのに、花菜ちゃんはいつも外で風景画を描いていて、運動部の人並みに日焼けしていた。


「私、テニス部だったから、ほんとイヤなくらい

日焼けしてたんだけど、かなと腕 見比べて、どっちが黒いかなんて勝負してたくらい」


「それ、懐かしい……」

と、砂川さんは小さく笑った。


「当時、花菜ちゃんが好きだった人って、誰か

わかるなぁ?」


「えっ!好きだった人?

基本的に、かなって、オトコ嫌いで。

男子 誰とも仲良くしてなかったよね?」

と、芳村さんは、砂川さんを見た。


「うん、そう!

あっ、でも、オトコ嫌いなんじゃなくて、テレるって言ってたよ。

私も、男子苦手だったから、なんかわかる~って言ってたな。

だけど、ほら!あの人! 

えっと……名前忘れちゃった。

隣町の中学の1こ上の先輩!

私、会ったことはなかったけど」


「そうそう!なに先輩だっけ~!?

かっこいいんだよ!って言ってたよね」


「芳村さんも会ったことはなかったの?」


「うん、ない!

確か、かなが行ってた塾で、毎回会う人なんだって!」


「あれっ、お医者さんの息子じゃなかったっけ?」


「あっ、そうかも!」


「じゃ、さ、同じ中学の同級生とかで好きな人とかはいなかったのかな?」


「いなかったと思うよ!ほんと、男子をさけてる感じだったもん」


ファミレスで3時間くらい話をして、2人と別れた。



 

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