第17話 出会い

 数日後


「ごめんね!茜ちゃん!この間!」


美鈴さんからの電話だった。


「茜ちゃん、長野に行ってるって、諒くんにポロっと喋っちゃって。

でも、例の話は、絶対絶対 内密にするから、信用して!」


「信用してるよ!美鈴さんのことは。

だけど、諒くんまだ全然 立ち直れてないんだね……」


「そうだね……なんかさ、わたし、弟2人いるからさ、なんか、諒くんって弟みたいな感じがしちゃってて、超説教しちゃったよ。

“あんたがそんなんでどうするんだ!

花菜が悲しんでるのがわかんないのか!” 

って。

そしたらさ、泣いちゃってさ……」


「えっ?」


「励ますつもりで会いに行って、泣かしちゃうんだから、世話ないよね。

一番辛いの諒くんだってわかってんだけど。

ついつい説教になっちゃうんだよね私。

最終的に私、キレ気味に帰って来ちゃった。

当分の間、諒くんに会わないどこうって思ってるよ。

悪いんだけど、茜ちゃん、慰めといて」


美鈴さんはバツが悪そうに、あははっと笑った。


「あっ、うん。それは、いいけどさ。

もうじき、5ヶ月経つけど、リハビリどんどんしないと仕事だって復帰できないよね?」


「そ!! それ!!

だからさ!そもそもインストラクターなんだから、なんなら職場でリハビリしてればいいのよ!プールでも、ジムでもさ!

とにかく、やろうって気がないんだよ!」


「そうだよね……」



諒くんと花菜ちゃんの出会いは、スポーツジムだった。


「若くてカッコイイ インストラクター入ってきたんだよ!茜も一緒に行こうよ!」

って誘ってくれて、私も行ってみた。


「風見さんのお友達ですか?

山村諒です。よろしくお願いします!」


それが、私と諒くんの出会いだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る