第40話 遺言
「そうだね。そういうことだと思うよ」
電話の向こうで美鈴さんは笑った。
「茜ちゃんが、諒くんのことを好きなのは、鈍感な私だってわかってたよ。
茜ちゃんは、自分の気持ちを必死に隠してたんだと思うけど。
花菜は、そんな茜ちゃんを見る度に、昔の自分と重ねてたんだね。
諒くんの気持ちもあるから、じゃ~2人つきあえば?なんて、花菜の立場じゃ言えないし。
事故の瞬間、意識もうろうとした中で、花菜は
死を覚悟したんだよ。
たぶん、花菜のことだから、諒くんは大丈夫ってのも確認したと思うよ。
それで、病院へ真っ先に駆けつけてくれるのは、茜ちゃんだって確信した。
意識不明になっちゃって、でも最期の最期に出た言葉は、茜ちゃんに伝えたかった気持ち。
忘れられない人を捜して、伝えたかった気持ちを求めて、その手帳にたどり着いて欲しかった。
自分の気持ち殺して、身を引いて、後悔してほしくないって。
って、まっ!そうゆうことだね!!
花菜らしい……あはははは!!
回りくどい!!
でも、良かった!!
伝わったよ~!!花菜!!
じゃ、今度は茜ちゃんが気持ちを伝える番だね!遠慮しないでいいんだよ!
それが、花菜の遺言なんだからさ」
「花菜ちゃん……
う……う、ゔえーーーーーーん!!」
「ゔえーーんって、どうゆう泣き方してんのよ!!
子供じゃないんだから!!あはは!!
ちょっと、そんな変な泣き方されると、私まで
つられちゃうじゃん!!
もーー!!う、う、うえーーーーーーん!!」
美鈴さんと2人で、泣いては笑い、笑っては泣いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます