第41話 やらないのは もったいない

 初めて必死に勉強した。


初めて必死に仕事をした。


部長に、配置転換の希望を出した。


人事考査の為に、必要な資格を取り、レポートをいっぱい書いた。

この会社でやりたいこと、自分がこの会社にもっと貢献できるということを猛アピールした。

課長職以上の役職の2人から、推薦状をもらわなくてはいけなくて、自分の部署の高野部長にお願いして書いてもらい、もう1人は石川さんにお願いした。

石川さんは、そんなのお安い御用だよって、ものすごい長文の推薦状を送ってくれた。

永瀬さんには借りがあるからねって。


花菜ちゃんが私のことを心配したり、気遣ってくれてた気持ちを、踏みにじらないように、私は自分自身を誇れる人にならなきゃいけない。


会社で1日ダラダラしていても、それなりにお給料がもらえるから、それでいいじゃんって思ってきた。


“やれるのに、やらないのは もったいないよ。

やれること 精いっぱいやれば楽しくなるよ!”


小学生の時に花菜ちゃんが友達に言った言葉。


私は、何も頑張ってこなかった。

何も出来ないんじゃなくて、何もしようとしていなかった。

部活もそれほど頑張ってこなかった。

高校受験も、大学入試も、入れそうなところに無難に入っただけ。

就活は何十社も落ちて、この会社は奇跡的に入れたけど、どこでもいいから入りたいって思っていただけ。

この会社にどうしても入りたいって、やりたいことがあったわけじゃない。

だけど、覚醒めた。

今更ながら覚醒めた。


“やれるのに、やらないのはもったいない”


そうだよね!

たった一度の人生。

いつ、終わりがくるかもわからない。

必要ない人じゃなくて、必要とされる人になりたい。

私は、花菜ちゃんとは違う。

花菜ちゃんの代わりにはなれない。

だけど、私は自分自身を好きになりたいし、諒くんに好きになってもらいたい。

だから、とにかく、必死に頑張ってみるよ!!




 

 

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