第26話 花菜ちゃんの親友

 ね……花菜ちゃん

花菜ちゃんが私に託した想いは、もう果たせたのかな?

これで良かったの?


何となく、頭の中グチャグチャで、胸の奥モヤモヤで、家に帰ってもずっと考えてしまった。


私は最初、花菜ちゃんに託された想いを、その人に伝えれば、なんてゆうのか、達成感があるんじゃないかと思っていた。


花菜ちゃん!伝えたよ!!って。

スッキリすると思っていた……ような気がする。


でも、酒井俊平さんに会ってわかったのは、お互いに想いは伝えてなかったけど、伝わっていて、両思いの相手だった。

それを伝えず別々に生きていくことを、お互いによしとしていたように思う……

ならば、伝えることは必要だったのか?

伝えられなかったことが、本当に死ぬ間際の後悔だったのか……

酒井さん、両思いだと思ってましたって言ったから、結局、花菜ちゃんが死に際に言った言葉は伝えなかった。

いや、それでも伝えるべきだったのかな?

これで良かったのか……

何か違うような気がして、自分のしたことが正しかったのかさえ、わからなくなった……



 

 2週間後


「ひさびさ~~!!」


美鈴さんからの電話だった。

電話で話すよりも、会って話したかったから、東京と群馬の間をとって、大宮でちょっと遅めのランチをすることにした。


「あれからさ、私いろいろ考えちゃって、連絡

遅くなっちゃって ごめんね!」


会うなり、美鈴さんはそう言った。


「ううん、私こそ!

私も、この2週間、変な感じだったよ……」


「変な感じ?」


「うん。いろいろ わからなくなっちゃった……

私達やったこと、間違ってないよね?」


「酒井さんであってるかってこと?」

 

「うん、それもあるけど……

忘れられない人がいるの…… 

気持ち伝えたかった……

の、意味」


「他の意味なんてある?

私達が来たことで、確信したって酒井さん言ってたじゃん!

花菜も、気持ちは伝わってるって思ってたけど、確信は、なかった。

自分では伝えられなかった気持ちを伝えて欲しかったってことじゃないのかな?」


「そっか……」


「ってゆうか、結局 言葉伝えてないけどね。

花菜、伝わってたよ!って感じ!あはは!

そう言えば、諒くん仕事復帰したんだって?」


「あっ、うん」


「やっとか!って感じだね。お祝い会やる?」


「あっ、いいね!」

 

「私、今月中 特に予定ないから、茜ちゃん、諒くんと相談して日にち決めといてよ。

ついでに、店も決めといてくれるとありがたいんだけど」


「うん、いいよ。

じゃ、決まり次第連絡するよ!」


「サンキュー!じゃ、よろしくね」


美鈴さんとは不思議と気が合う。

花菜ちゃんの親友。

接点はそれだけの人だけど、昔から仲のいい友達みたいな感覚。

一緒にいても気を遣わないでいられる。




 諒くんに電話するのも久しぶりだな。

リハビリしてた時は毎日会ってたけど、リハビリ終わって、職場復帰するって聞いてからは、連絡とってなかったし……

お祝い会やったら、あとは、ほんとにもう会うこともないんだろうな。

会う口実もないし。

諒くんにとって私は、亡くなった彼女の親友ってだけの人だもんね。

私と会う意味なんて、ないもんね……

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