第27話 少女マンガのような

 私がスポーツジムで諒くんを紹介されて少し経ったころ、花菜ちゃんと2人で飲みに行った。


花菜ちゃんは、お酒があんまり強くなくて、すぐに真っ赤になっちゃう。

お酒強くないけど、飲みに行くのは好きなんだ!って、普段より陽気で楽しい感じになる。

私は、割と強い方。

だいぶ酔っぱらってても顔にはでないし、結構飲めるタイプ。

それでも、花菜ちゃんにつられて、私も普段より陽気になって、2人でずっと笑ってる。

 

「あははははっ!!花菜ちゃ~~ん!

顔真っ赤だよ~~!」

と、私が言うと、花菜ちゃんは、両手で自分の両頬をはさんだ。

 

「じゃ!顔、真っ赤ついでに、発表しま~す!!

彼氏ができました~!!」

と言った。


「えっ?ほんと?誰、誰?私 知ってる人?」


「うん、茜 知ってるよ~~。

ジムのインストラクターの山村諒くん」


「えっ……」



たぶん、この時の私は、驚いたのとショックなのとで固まってたかもしれない。


でも、花菜ちゃんは酔っぱらってたから、そんな私には気がつかなかったと思う。


「山村くんから告白されたの?」


「告白されたってゆうか、いきなりキスされた。あはははは! 

ちょっと犯罪スレスレ!!

ウエイトやっててさ、サイドについててくれたんだけど、キツくて~、あぁ~~ダメだ~~って目を閉じて休んでたら、キスされてさ~。

えっ?なんで?って聞いたら、苦しそうだったから!って!あはははは!!

人工呼吸した方がいいのかって思って!!って、そんな訳ないですよね!すみません!

なんか、思わずキスしたくなっちゃったんだ!ってゆうの~。

どうゆうこと~?って、なんか、その日はびっくりして帰ってきちゃったんだけどね。

気まずいなぁって思いながら次にジムに行ったら、この間は、ほんとごめん!一緒に食事に行ってもらえませんか?って言われて、食事に行ったの。

で、いろいろと話して、前の男にこっぴどくフラレたので、今恋愛自粛中なのって話をしたら、

俺 いきなりキスなんかして軽い気持ちって思われそうだけど、本気だから!って。

恋愛自粛明けのリハビリくらいのお試しでもいいから、俺と付き合ってほしい!って言われてさ。

ちょっと迷ったけど付き合うことにした~!!」


花菜ちゃんから聞いた、その馴れ初めは、なんだか少女マンガのようで、そんな風に恋が始まることって、現実にあるんだな~って思った。

なんで、私じゃなかったんだろ……

なんで、諒くんに興味なかった花菜ちゃんなんだろ……

私は、初めて会った時から、諒くんのことが好きなのに……


花菜ちゃんは、普段ジムに行ったりしても、諒くんとイチャイチャすることはなかった。

お酒を飲んだ時に、ちょっとノロケるくらい。



 

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