第20話 小学校のともだち

 お正月


美鈴さんと2人で、長野の花菜ちゃんちへ行くことにした。


花菜ちゃんのお母さんは、相変わらずのハイテンションで喜んで迎えてくれた。


「今年のお正月、花菜はいないし、お父さんと2人でどうしようかと思ってたのよ~!

いっそのこと、ハワイでも行っちゃおうかなんて思ったりしたけど、さすがにそうゆうわけにもいかないじゃない!?あはははは~!」


「なんの遠慮もなしで、自分の実家のつもりで、くつろいでいってくれよ」

と、お父さんも言ってくれた。



花菜ちゃんの地元の友達が何人か、お線香をあげにきた。

帰りがけ、声をかけて、少し話を聞かせてもらった。

小学校の時に同じクラスだったという、三浦さん。


「風見さんは、明るくて元気な人だったな。

元気だったけど、おとなしくしていたよ。

病気のせいで、おとなしくしてなきゃいけなかったんだけど、ほんとは体育もやりたかったんだろうな。

私、体育 得意じゃなかったから、風見さんに

見学でいいよね!って言っちゃったことあって。

そしたら、ツーって涙 流したの。

大きな声で怒ったり、ワァワァ泣くんじゃなくて、ツーって流して、俯いて……

その時、ほんとに言っちゃいけないこと 私言っちゃったんだ!って思って。

その後、すごい反省して、謝ったんだ。

そしたら、風見さん、全然いいよ!気にしてないよ!って言ってくれて。

“”やれるのに、やらないのは もったいないよ!

やれること、精いっぱいやれば、楽しくなるよ!“”

って、言ってくれたの。

それ、ほんと忘れられないよ。

風見さんの その言葉、不思議とスーーっと胸に落ちてね、イヤだなと思ってたことも頑張ってみることにしたの。

そのおかげで、嫌いだったけど、好きになったってこと沢山あって!

ほんと、風見さんのお陰って思ってる。

そんな気持ちも伝えられないままだったけど……」


「ありがとう!大丈夫!花菜は、わかってるよ!

全然いいよ!!って笑ってるよ!」


美鈴さんの言葉に、私はただ泣いていた。


三浦さんが帰ってから、

「花菜ちゃん、いい人だったんだね!」

自分で言って、いい人だったって言葉に笑ってしまった。


「うん、そうだね!いい人だったよ。

私が出会うずっと前から いい人だったってわかって、ほんと良かった!」


「そうだね」

と、2人で笑った。



 

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