第21話 美術部のともだち

 次の日


 中学の美術部で一緒だったという、河合さんが来て、話をすることができた。


「美術部ってさ、絵を描くのが本当に好きな人って半分くらいで、あと残り半分は運動苦手な人がしょうがなく入るんだけどね。

花菜ちゃんは、病気のこともあったし、完全に後者だと思ってたの。

あんまり やる気ないんだろうな~って。

でも、全然違ってたの。

誰よりも早く来て、誰よりも遅くまで残って描いてたよ。

ここの景色が好きなんでって、雨の日以外は外に出て描いてたなぁ」


そう言うと、思い浮かべるように目を閉じた。


「校舎の横の土手ですよね?」


「あっ!そう!桜並木だから、綺麗なんだけどね。

普通スケッチは外でして、色づけは室内が当たり前なんだけど、花菜ちゃんは色付けも外でするんだもん。

どんだけ日焼けしたいんだ?って笑われてたけど。

高校に入って、陸上部に入ったって聞いて、あぁやっぱり!そうか!って合点がいったってゆうか」


「どうゆう意味?」


「ずっと走りたかったんだろうなって思って。

陸上部が土手を走ってるから、私なんかは陸上部ジャマって思ってたくらいだったけど、花菜ちゃんは、景色と一緒に陸上部を見ていたんだなぁって思った。

走りたいなぁって思ってたんじゃないかな」


「そうだったんだ……」

 

「ねっ、陸上部に好きな人とかいたのかな?」


と、美鈴さんが聞いた。


「えっ?

う~ん……考えたこともなかったけど……

花菜ちゃんは、男子とほとんど喋らない感じだったから。

美術部員の男子とだって、あんまり喋ってないんじゃないかな。

う~ん……

花菜ちゃんが好きだった人って、思い浮かばないや」




忘れられない人



「ね、茜ちゃん、花菜が通ってた塾、お正月もやってるみたいだから、夕方行ってみない?」 

と、美鈴さんが言った。



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