第10話 西村美鈴
大学時代 18歳から22歳
花菜ちゃんは、長野から上京し、中野のアパートに住み、都内の大学に通っていた。
その4年間を調べよう。
花菜ちゃんのお母さんに連絡をして、大学時代に仲の良かった友達数人の名前と連絡先を教えてもらった。
お母さんに教えてもらった友達の1人、西村美鈴さん。
この人の名前は、花菜ちゃんの口から何回も聞いたことがあった。
とりあえず、この人に当たってみよう。
連絡をとり、1週間後の日曜日に上野駅で待ち合わせることになった。
西村さんが乗ると言っていた 新幹線の到着時刻に合わせて、改札近くで待っていた。
歩いてくる大勢の人の中で、この人だってすぐにわかった。
背が高くて美人さん。
マスタードイエローのロングコートで、風を切るように颯爽と歩いてくる。
ランウェイを歩くモデルさんのようだった。
知り合いでもないのになんだけど、大きく手を振ってみた。
あっ!って顔をして、私のところへ来てくれた。
「西村です」
「はじめまして。
お電話させていただきました、長瀬茜と申します。
今日は、わざわざ遠いところをご足労いただきまして、ありがとうございます」
「ふふふ!! あっ、ごめん!!
花菜から聞いてた通りの人だなぁと思って」
「えっ?私のことですか?
花菜ちゃんなんて言ってたんですか?」
「すごい、メチャ礼儀正しいって言ってた。
歳タメだから、敬語じゃなくていいよ!
茜ちゃんって呼んでいい?」
「あっ……、同じこと、花菜ちゃんに言われた」
「そっかぁ。
で、電話でも聞いたけど、詳しく教えて!
ってゆうか、お茶しよ!!」
そう言って笑った。
それから、1時間半。
店を変えて、また1時間半くらい話をして別れた。
美鈴さんは、花菜ちゃんから聞いていた通りの人だった。
美人なんだけど、気取ってなくて、サバサバしてて、頼りがいのある男前な人、だった。
今は、仕事の関係で群馬に住んでいた。
その美鈴さんによると、大学生の時、花菜ちゃんが付き合っていた人は1人。
同じ大学の2個上の人で、佐山祐司
付き合っていた期間は、2年弱。
佐山が卒業して社会人になって、だんだんとすれ違いが多くなり別れたということだった。
「佐山祐司さ~、付き合いはじめた時は、頻繁にデートもしてたけど。
佐山が就活が忙しいとか、卒論が忙しいとか、なんか最後の方なんて、いつ会ったっけ?ってくらいもう自然消滅みたいな感じになってたのを、はっきりとさせてきたって。
会って ちゃんと別れてきたって言ってた。
ねっ!
花菜の性格からして、忘れられない人っていうのは、元カレとかじゃないんじゃないかな~。
たとえば片思いだった人とか?」
「そうゆう話 聞いた?」
「ううん、聞いたことはないけど。
なんとなくそう思った。
ね~、大学時代じゃなくて、高校か、中学じゃない?
さすがに小学校ってことないと思うけど。
わかった!!初恋だな!!初恋の人だ!!
今、ピーンときたよ!!」
初恋の相手か……
片思いで終わった恋
美鈴さんが言う通りかもしれない。
本当は、大学時代の友達何人かに会って話を聞こうかと思っていたけど、美鈴さんの言う通り、高校時代を調べてみようか。
花菜ちゃんの高校は、花菜ちゃんの地元の公立高校。
長野に行くなら、花菜ちゃんのお墓参りもしたいし、ご実家にご挨拶したりしよう。
中学時代のことも一緒に調べた方がいいし。
下準備が必要だな。
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