第26話 5体目
「おっと……これは……」
「なんてことだい……こいつは……」
アルタイルとメリクは、ヴェラのベッドで寝ている兎耳の人物に……敵意を向けた。
しかし、当の本人は……。
「すぅ……すぅ……」
……無防備な寝顔を見せ、寝息を立てていた。
「ちょっと2人とも! 説明してくれないかい!?」
「しー! かいちょー……起きちゃいますよ!」
「あ、ごめん……」
「……ちょっとアンタ! 何謝ってんのよ! それよりも2人とも! なんでこんな奴庇ってるんだい!」
「せ、説明するので落ち着いてくださいよ、ふくかいちょー……」
「会長、副会長、実はですね……」
ヴェラとポラリスは、この人物が何者なのか、今起きようとしていることを洗いざらい話した。
「な、なるほど……それが本当なら、怖いなぁ……」
「ほんと、商売どころじゃなさそうだねぇ」
「ええ、それで、ヴェラと僕とこの人物……レプスと考えました」
「これです」
ヴェラとポラリスは、3人で考えた合体巨大兵器の設計図を見せた。
「おお、これは凄いね、3人で考えたの?」
「はい、まぁ、大部分はこいつとヴェラが考えたのですが……」
「なるほどねぇ……なかなか奇抜な機械だねぇ……」
アルタイルとメリクは設計図を見ながら、感心していた。
「……どうだい? メリク、俺はできると思うよ、技術者としての感ってやつでね」
「……まぁ、アルが言うならそうなんだろうけど……ちょっと意見を言ってもいいかい?」
「なんですか? ふくかいちょー?」
「これ……4つで足りるのかい?」
「……え?」
「いや、これさぁ……4つじゃ合体できないんじゃないかって思うんだよ、アルはどう思う?」
「うーん、確かにな……そうだ! ちょっと白紙の設計図くれいないか?」
「はい、これですけど」
「ありがとう」
アルタイルは、ヴェラから設計図を受け取り、杖で何かを描き始めた。
それはまるで、装甲を身に纏った巨大な人間のように見えた。
「できた! どうだい?」
「うーん、かいちょー、ちょっといいですか?」
ヴェラはアルタイルの設計図に何かを付け加えた……。
「おお……なるほど」
「いやアンタ……なるほどって納得してるけど、これは……」
「いいじゃないですか! かわいいでしょ?」
ヴェラが設計図に加えたもの……それは……兎の耳だった。
「……僕は悪くないと思うが、それだったらこっちにも」
「あ、そうだね!」
ポラリスは巨大兵器の頭にも……兎の耳を付けた。
「ほほう、いいんじゃないか? メリクはどうだい?」
「うーん……まぁ、こうして見ると悪くは無いね……で、これどう作るんだい?」
「あっ……」
「考えてなかったのね……アンタらしいよ」
メリクは呆れたものの「これがヴェラだ」と納得する部分もあった。
「うーん……1台なら俺たちでもできそうだとは思うが……残り4つはどうすれば……」
4人は考え続けた……商会の作業場も無限ではない、1台作るのにも数日から数週間、それを5台も作るとなると、攻められるのも時間の問題……。
4人が考える中……それまで眠りについていたレプスが目を開けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます