第20話 共和国の脅威
「……そして、そこからこの国は変化の嵐に襲われました、アルネブはその権力で軍部を動かし、他国へ侵攻を始めました、ニハルの圧倒的な軍事力で他国は瞬く間に支配下に置かれ、アルネブの息のかかった人物によって、傀儡政権が樹立されていきました」
映像は、ニハルの軍隊が、他国の市民たちを襲う様子に切り替わった。
市民たちが跪き命乞いをするも、軍人たちの魔法で殺害されたり、市民たちが一か所に集められ、軍人たちによって火炙りにされる様子が映し出された。
「……ひくっひくっ……酷い……酷すぎるよ……」
ヴェラはあまりの惨状に……その様子を直視できなかった。
「……申し訳ございません、映像変えますね」
レプスはやりすぎたと考えるが……映像を変えようとした手を、ポラリスが引き留めた。
「……いや、これは現実に起きた事だろう?」
「は、はい……」
「ならば僕たちは見る資格がある……いや、見なきゃいけないんだ」
ポラリスは……市民が蹂躙されていく様子を、真剣な眼差しで見続けた。
そして……その様子を見て、無意識に握りこぶしを作った。
「…‥ニハル民主共和国は、他国の資源を根こそぎ自分のものにし、そこで生まれた利益をすべて軍に流しました……軍事力を高めていった彼らは、ついに『恒星系を行き来できる技術』を習得しました」
映像に映し出されたのは、巨大な宇宙船……アルネブ率いる軍人たちがそこに乗り込み、空高く飛び立つ様子に変わった。
「彼らが最初に目指したのは……『魔法が発達せず、科学だけが発達した星』でした、この星の支配者は貴方達と同じく人間……魔法が発達しなかった彼らは、アルネブたちの力に圧倒され、あっという間に占領されてしまいました」
映像の中……そこでは、「科学しか発達しなかった星」の様子が描かれていた……。
「星々と紅白の帯が描かれた旗の立つ白い建物」、「赤い円が描かれた旗が掲げられている石碑の建物」、「星々が円状に並ぶ旗が揚げられている建物」が、瞬く間にアルネブ率いる軍隊に占領され、兎人たちが人間たちを蹂躙していく様子が映し出されていた。
「科学しか発達しなかった星……そんな惑星があるのか」
「はい……本拠地であるニハル民主共和国では、度々戦果が報道されました……大多数は、もうこれ以上の戦闘を望んでおらず、現政権の打倒が叫ばれ始めました」
「じゃ、じゃあ……」
「……ですが、アルネブ達はそんな反対意見を弾圧し……反発する人々を『反乱分子』と呼称し、彼らの撲滅を国民に訴えました……反乱分子を軍隊に売ったものは相応の報酬を与えると言いました……貧しい生活を強いられていた国民は、お互いを監視し合い、ほんの少しでも体制について不満を溢した人を見つけたら、その人の家族ごと軍隊に突き出すような事が続出しました」
「……」
国内の悲惨な状況、自分たちの生活の為に関係のない人々を犠牲にする……その行動は、アルネブ達の行動と何ら変わらなかった。
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