第21話 巨大兵器

「ですが、そんなアルネブ達を打倒しようと……私は立ち上がったのです!」

「ひくっ……レプちゃんが?」

「はい、私は王国崩壊直後に各地を転々とし、打倒の機会を窺っていたのです……そして、奴らが他の星へと能天気に外遊へ行っている間に、奴らの席をぶんどることに成功したのです!!」

「い、いきなり物騒なこと言うねぇ……レプちゃん……」


 それまで涙を流していたヴェラだったが、笑顔で武勇伝を語るレプスに、涙がせき止められてしまった。


「各国の傀儡政権を打倒し、国を解放して行ったのですが……各国は『民主共和国政府の者たちが完全に失脚を確認するまでは国境を封鎖する』と声明を発表し、我々と連絡がつかなくなってしまいました」

「えぇ……折角解放してあげたのに?」

「ヴェラ、仮にも占領されていたんだぞ? 解放してあげたからこれで許せなんて、メンツが持たないだろう」

「そうだけどさぁ……」

「……ポーちゃんさんの言う通り、彼らの言い分はもっともです、ですので私は……ケジメをつけるために、奴らを追いかけることを決めました」

「お、追いかけるって……まさか」

「はい、奴らの技術者を使って、私たちも恒星系を行き来できる船を完成させたのです」

「それで……この星に?」

「はい……仲間と共に来たのですが、奴らの攻撃に遭って……私は不本意ながら、救命船乗せられ、ここに不時着してしまいました」

「その……仲間たちは? どうなったんだ?」

「そ、そうだよ! どうなっちゃったの!?」

「……わかりません、生きているのか……死んでいるのかも」

「「……」」


 2人は、気まずくなってしまい、黙ってしまった。

 しかし、ヴェラは、レプスの手を掴み、笑顔で話した。


「大丈夫だよレプちゃん! きっと生きてるよ!」

「……おいヴェラ、あまり無責任なこと言うもんじゃないぞ?」

「だって! 仲間が死んじゃってるなんて、そんな暗いこと考えていたら、どんどん暗くなっちゃうよ? 少しでも生きていると思っているなら、そう思ったほうが絶対いいよ!」

「だ、だがなぁ……うーむ」


 ポラリスは、ヴェラのポジティブな発言に困惑しつつも「いつものヴェラらしい前向きな発言だ」と納得している様子もあった。

 ……ヴェラの発言は、レプスの顔をも明るくした。


「……そうですよね! 少しでも可能性があるなら……信じたほうが良いですよね!」

「そうだよ!」


 ヴェラの笑顔はレプスに伝染し、さらにポラリスにも伝染した……。


「……で、奴らは今、この国の軍隊に押されているようだが、実はたいしたことないんじゃないのか?」


 落ち着いたところで、ポラリスは手を上げて意見を述べた。

 しかしレプスは、再び表情を曇らせ、首を横に振った。


「いえ、奴らの攻撃はこれからです」

「……これから?」

「これを見てください」


 レプスは映像を動かし……宇宙空間に浮かぶ巨大な船を見せた。


「これは先ほど言いました、恒星系を行き来できる船です、奴らは星を攻める際に、まず兵隊を小さな船に乗せ、星へと送り出します」

「それが……あの隕石?」

「はい、そしてある程度兵隊を消耗させた後……今度はお手製の『戦闘用機械』を使って攻撃を仕掛けます」

「せ、戦闘用機械!? ねぇねぇ! それってどういうの!?」

「おい、ヴェラ、興奮するな……」


 ヴェラは、「機械」という言葉に反応し、それがこれから攻めてくるかもしれないにもかかわらず、好奇心を燃やした。


「……この機械はその名の通り、元は防衛用に作られた機械です、大きさは山のように大きく、地表に降り立てば人間は勿論、あらゆるものが一瞬で踏みつぶされます」

「……で? で? それはどこにあるの? 見た感じどこにもないけど? ねぇねぇ!」

「それなんですが……」

「……ちょっと待て、まさか……あの船……」


 映像の中の船、それが突然変形を始め……人型の騎士の姿に変形した。


「……はい、この船の真の姿、それがこれです」

「えぇ!? こんな大きいの!?」

「はい……この機械に攻められたら最後、星は瞬く間に焦土と化し、支配下に置かれてしまいます」

「「……」」


 映像の中の機械は、光の速さで地表へと飛んでいき……青かった星は、徐々にその色を濁らせ、最終的に、干上がったかのようになった。

 ……レプスは映像を閉じ、3人は元の部屋へと戻った。

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