第22話 4つの機械
「……こうなってしまった以上、もう打つ手はありません、もはや一刻の猶予も……」
レプスの目に光りは灯っていなかった。
この星がアルネブ達の支配下におられるのも時間の問題、奴らの技術力に圧倒され、人々は根絶やしにされる……レプスの目には、蹂躙される人々が見えていた。
……しかし、そんなレプスを明るく照らす光が一つ。
「……いや! まだ猶予はあるよ!」
「……え?」
「だってさ、この国の軍隊はとりあえずはそいつらを鎮静化できてるわけでしょ? そんな巨大な機械……倒せるよ!」
……ヴェラは、目を輝かせ、立ち上がった。
「……待つんだヴェラ、具体的に策はあるのか?」
「うーん……ない!」
「おいおい……まぁ、君らしいとは言えるが……」
……ヴェラの言葉、その言葉は適当なことを言っているようだったが、やる気に満ち溢れ、何でもできるような雰囲気を醸し出していた。
レプスは、ヴェラの光に照らされ、暗闇に晒されていた記憶を思い出した。
「……機械」
「……機械?」
「そういえば、ヴェラさんの作ったあの大きな機械……あれで私を守ってくれたんですよね?」
「う、うん……」
「大きな機械だと? まさかあの試作品か?」
「あ、そうそうポーちゃん、あのコボルトちゃん2号、調整終わって完成させたよ!」
「な、なんだと!? それは本当か!?」
「うん!」
「でかしたぞ! これで商品が完成に一歩近づいた……と、守ったっていうのはどういうことだ?」
「あ、それはね……」
ヴェラは襲ってきた兵士相手に、試作品コボルトちゃん2号を用いて追っ払ったことを話した。
「なるほど……まぁ、工作機械だからそれほどの力はあるだろうな」
「でしょ? ……あ! そうか! ちょっと待って!」
ヴェラは何かを思いついたのか、自身の部屋にある引き出しを探り始めた。
「……ヴェラさん、これは?」
「実はずっと考えてた機械の設計図! 商品にならないって思ったから仕舞ってたんだけど……レプちゃん、レプちゃんの考えている事ってこういう事でしょ?」
ヴェラが見せた設計図……それは巨大な動物のように見えた。
熊、亀、地竜、鷲を模した巨大な機械……ヴェラが思い付きで書いたためか、ところどころ欠陥も見えた。
「ヴェラ、こんなものいつの間に考えてたのか?」
「うん! でもこれ考えた時、『大きい動物と戯れたいなー』って気持ちで作ってたんだけどね、えへへ……」
「君は相変わらずだな、全く……」
ポラリスが呆れる中、レプスは設計図を見て目を輝かせていた。
「凄い……凄いです! この機械、すごいぴょんぴょんです!」
「レプちゃん、どう?」
「これなら対抗できそうです……けど、4体だけではちょっと不安ですね……」
「うーん……そうかぁ……それじゃあさ……」
レプスとヴェラは意見を交換する中、ポラリスは意見を述べた。
「ちょっと待て、これを本当に作るとしても、せいぜい集合住宅と同じくらいの大きさが限界ではないか?」
「あ、そっか……」
ヴェラたちの世界において、大きな機械の限界はせいぜい4階建ての集合住宅ぐらい、それ以上大きな機械は全体未聞。
あの大きな船に対抗できるのかどうか……そう考える中、レプスは何かを思いついた。
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