第19話 ニハル
「おおお!? レプちゃん、なにこれ!?」
「……私のいた星の魔法です、映像にした方が分かりやすいかなと思いまして」
「映像だと? すごいな……こんな魔法見たこと無いぞ?」
ヴェラとポラリスは、目の前に広がる宇宙空間を、驚愕の表情で見続けた。
「まず……これが私のいた星です」
3人はとある恒星の中へと飛んでいき……その恒星の周りに回る惑星の一つ、青く輝く惑星の中へと飛び込んだ。
「お2人の星は猿から進化した人間が支配者となりましたが……私たちの星では、兎から進化した『兎人』が支配者となっていました」
「へぇ~」
「そして、その中でも力をつけていたのは、私の故郷『ニハル王国』です、私は……そのニハル王国の王女でした」
「えぇ!? レプちゃん王女様だったの!?」
「はい……恥ずかしながら……」
「すごーい! かっこいいね!」
「そ、そうですか? なんか、照れちゃいますね、えへへ……」
レプスはヴェラの称賛に顔を赤らめ……頭をかいた。
……そんな中、ポラリスは獲物を発見したかのような眼差しをレプスに向けた。
「……んん! で、そのニハル王国が何なんだ? レプス」
「あぁ、すみません! この国は圧倒的な人口、圧倒的な経済力で、他国と差をつけていました、ですが周りの国を尊重し、お互いに取引を重ねることで、発展していきました……」
映像の中では、ニハル王国の港で、兎人達がモノや金を取引する様子が映し出された。
そして、笑顔で駆けずり回る子どもたち、食べ歩きをする若者、井戸端会議をする老人たちの様子も映し出され、ヴェラとポラリスは、その様子を見惚れた。
「……まさに平和そのもの、確かに不満も無いわけではないですが、そんなことは些細な問題、人々の多くは何一つ不自由ない生活を送っていました……」
「……送っていた? どういうことだ?」
「……すみません、ちょっと」
レプスは、突然後ろを向き……自分の目を腕で擦った。
「れ、レプちゃん? 大丈夫?」
「すみません……続けますね、まさに平和そのものだったある日……ニハル王国でクーデターが発生しました」
「く、クーデター……」
3人はニハル王国の中心部にある城に飛んでいき、その中へと入っていった。
そして、その中で一番豪勢な部屋……玉座の存在する王室の中へと入っていき、その中では、軍服姿の女が、王冠を被る男女に襲い掛かる様子が映し出された。
「ニハル王国の軍部総司令官……『アルネブ』という女が、ニハル王国の国王と王妃……私の両親を拘束し、国の実権を握りました、そして『ニハル民主共和国』という国名に変え、自らをその国の指導者……『総秘書』であると宣言しました」
「……それで、レプちゃんのご両親は? ご両親はどうなっちゃったの!?」
「……ニハル民主共和国の建国宣言が行われた広間で……公開処刑されました」
「そんな……そんなの……あんまりだよぉ……」
ヴェラは言葉を失い……まるで自分に起きた出来事のように涙を流した。
ポラリスはそんなヴェラをあやす様に、彼女の背中を摩った。
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