第18話 北極星とウサギ座

「……っていうわけ」

「な、なるほど……」


 冷静になったポラリスは、ヴェラの言葉を最後まで聞き入った。


「……で、さっきの奴らは僕たちだけじゃなく、この子も狙っていると……」

「そういうこと、分かった? だからこの子は敵じゃない」

「……本当に信用していいのか? 申し訳ないが、僕は信用できないぞ?」


 ポラリスは、鋭い目つきをレプスに向けた。

 レプスは、ヴェラの後ろに隠れつつ、ポラリスをチラチラを見つめていた。


「し、信用してもらわなくて結構です! 私はあいつらと同じ星からやってきた異星人……むしろ、ヴェラさんの反応が異常なんですよ!」

「異常!? わ、私が!?」

「……確かにそれは言えてるな」

「ポーちゃんまで!?」


 ……この場において初めて、ポラリスとレプスの意見が一致した。


「……まぁいい、納得できないが、ヴェラが悪い奴じゃないと判断した……ならば僕も信用してやろう」

「ほ、本当ですか?」

「勘違いするな、仕事仲間のヴェラが信用しているからそれに賛同しているだけだ、僕自身はお前なんか信用してない」

「は、はい……」


 ポラリスの言葉は圧があったが……表裏のないその言葉に、レプスはある種の信用を覚えた。


「……僕はポラリス、君は?」

「れ、レプスです……えっと……ポーちゃん、さん?」

「ぽ、ポーちゃんって呼ぶな!!」

「ひぃ!? で、でもヴェラさんは……」

「ヴェ、ヴェラの場合は……ああもういい! 好きに呼べ! ……レプス」

「はい! よろしくお願いします! ポーちゃんさん!」

「ふん!」


 レプスは、ヴェラ越しに手を伸ばし…‥ポラリスと握手を交わした。

 当のポラリスは……そっぽを向きながら、それに応えた。


「レプちゃん、ポーちゃんはね、圧は感じるけどとっても優しくてかわいい子なんだよ! 初めて会った時なんか……」

「あー!! 余計なこと言わなくていい!! それよりレプス! あいつらは一体何なんだ?」

「あ、そういえばそうだったね! レプちゃん、なんなの?」

「……」


 レプスは……2人の質問の内容に顔を曇らせた。

 そして……答えを口にした。


「……あいつらは、私の国の軍隊……『だったもの』です」

「だったもの? 今は違うの?」

「はい……話すと長くなってしまうのですが……いいですか?」

「もちろん!」

「奴らの正体を知らなきゃどうもこうもないじゃないか」

「……わかりました、では、分かりやすいように少しこの場を変えますね……カンビア・デ・ルガール!」


 レプスが呪文を唱えると……3人の周りの背景が……突然宇宙空間のようになった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る